最近都市、地方を問わず罪もない人が殺害される残虐な事件が頻発している。海外まで出かけて高額な特殊詐欺事件を起こしたり、若い女性を殺害して不動産業を経営する叔母まで殺害しようとその資産を狙ったり、タワーマンションの駐車場に連続放火のような不審な事件も相次いでいる。1週間前には、現代の歌舞伎界で実力、人気ともに断然横綱の座にあった市川猿之助が、両親とともに無理心中を図って猿之助だけが命を取り留めるような、原因が分からない事件も起きている。そこへ昨日午後長野県中野市で若い男が猟銃とサバイバルナイフを振り回す事件が起きて夜通しテレビで報道していたが、今朝4時過ぎ12時間ぶりに犯人が身柄を拘束された。結局2人の女性と警官2人が殺害された。捕らえてみれば、市議会議長の31歳の息子だと判明した。これから事件の全体像が解明されるだろうが、かつてはあまり目にしなかったような事件の頻発は、世の中が不安定で国民に落ち着きのない証拠であろう。
そういえば、政界でも何だか妙な動きが伝えられている。ひとつは、10増10減に伴う次の衆議院選で新たに設けられる東京28区で、自民党が公明党の立候補を認めず、これを止むを得ず受け入れた公明党が立候補しない代わりに、他の東京選挙区における自民党立候補者の推薦を見送ると言い出したのだ。公明党は、①東京29区で自民の推薦を求めない、②他の東京選挙区で自民候補者を推薦しない、③都内の各種選挙で協力しない、④都議会での協力関係解消、などを自民党に伝えたのである。公明党は与党として自民党と組んですでに24年が経つが、石井公明党幹事長は、東京における自公の信頼関係は地に落ちたとまで述べた。両党内の陰の声では、これ以上の争いは止めようとの声がある一方で、自民党はこれまで公明党に配慮してきたが、今後は遠慮をせず、自民党の姿勢を貫くとの声も強いようだ。
今関西を中心に日本維新の会の伸張が著しく、自民、公明ともにこれに危機感を抱いている。特に公明党は、近年比例区の集票力が落ち参議院では、2004年の862万票から、昨年は618万票にまで減り、対応策として新たな選挙区への進出が考えられている。
一方自民党サイドとしては、今回の10増10減では有利だった地方区が減る。10減はほとんど自民党が被るが、10増は課題が多い。自民・公明の話し合いがこじれれば、連立与党も危うくなる。実際に両党共存でウィンウィンの関係だったが、東京新聞の予測では、仮に今衆院選が行われれば、前回25選挙区の内自民候補が勝ち、次点が立憲民主党候補の7選挙区は、公明党の票を得られなければ自民は立憲民主党に議席を奪われるだろうと予想している。
G7の好評価で岸田政権の支持率も若干上がり、来る選挙では順当な勝利を得られるのではないかと皮算用をしていたが、現状ではむしろ当選者は減ると予想されている。東京支部だけの争いが、全国の自民党支部と公明党支部の対立にまで発展しないとも限らない。天下泰平なる出来事と割り切ればそれまでであるが、両党にとっては正念場と言えるかもしれない。