5851.2023年5月21日(日) G7に盛り上がる広島、経済界は地盤沈下

 今日は早くもG7広島サミットが3日目・最終日を迎えることになった。国内はもとより海外でも被爆地広島は注目され、岸田首相の思惑はある程度効果を上げたのではないかと思える。連日各国首脳が訪れ、正に世界中の要人が広島へやって来たような印象である。警備にエラーはなかったようだ。警察関係者のその労苦には頭が下がる思いである。

 この機会とばかり、広島の名産品として牡蠣、もみじ饅頭などをPRしているが、広島の経済界は今低空飛行を続けていて、下手をすれば墜落しかねないほど広島県内の産業はパッとしないようだ。広島市はほぼ半世紀前には肩を並べていた札幌市と福岡市に今では大きく水を開けられ、仙台市にも追い抜かれかねない。中でも広島の2大看板である中国電力とマツダの営業成績が苦境に喘いでいるようだ。中国電力は、2023年度決算が過去最悪の1,740億円の大赤字になった。そのうえ関西電力、九州電力とのカルテル問題で公正取引委員会から課徴金を命じられ、更に顧客情報への不正アクセスが発覚して自治体から入札排除処分を受けている有様である。更に困ったことには、中国電力が石炭火力発電へ依存し過ぎていることである。それも理由はある。島根原発2号機の再稼働が進まないところへ3号機は完成済みながら10年以上も運転を開始出来ない。電源不足からやむなく石炭火力への依存度を強める形になり火力発電の運転を開始した。今では先進国の脱石炭の動きにただひとり逆行しているのが、中国電力である。広島出身をことさら吹聴する岸田首相としては、批判の集中砲火を浴びても中国電力への配慮を止めるわけにはいかないようだ。

 もうひとつ苦境のマツダも状況は厳しい。23年度の決算では、売上高が25%、営業利益は44%も上昇して一見好調そうに見えるが、それは円安効果のお陰で、過去15年間成長どころではなく縮小でしかない。トヨタはこの間大きく業績を伸ばしている。特に懸念されているのは、マツダは電気自動車(EV)への対応が遅れていることである。

 この他にも日本製鉄㈱が呉市内に持っている製鉄所を閉鎖する。三菱重工業㈱も生産を縮小し、造船業は今治造船のある四国側へ重心が移った。広島経済の地盤沈下は、まったく予想出来ないことでもなかったようだ。私自身はJR広島駅で乗り降りしたことはないが、その根本的な象徴として広島駅周辺の開発が遅れて雰囲気にみすぼらしさが感じられるそうだ。繁華街は広島駅から離れたエリアにあり、広島空港も市中心部からバスで1時間もかかる辺鄙な一角にある。開発が遅れていたことが最大の理由である。大きな商業施設はなくホテルだけが目立って、駅から徒歩圏にマツダスタジアムがある。都市計画のバランスが取れていないのである。どうも発展する都市としては形が良くないようだ。

 カルビーやユニクロは、元々広島が地盤だった。ああいう意気の好い地元企業が出た土地柄だけに、これでクシュンとはしないだろう。かつては弱小球団だった広島カープが、今では強豪にのし上がった。被爆地広島に第2のユニクロが輩出されることを期待している。

2023年5月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com