昨年11月経済産業省が原発について一歩前向きに突っ込んだ素案を公表した。11月29日付の新聞を読むと、その骨子は、1)原発活用に再びカジ、2)廃炉の建て替え推進、3)原発延長を60年超、ということのようである。
政府は東日本大震災後、原発の新増設及び建て替えを封印してきた。しかし、ロシアのウクライナ侵攻でエネルギーの供給に不安が生じ、当面化石燃料に頼ることになった。そこで将来的な電力の安定供給と脱炭素化の両立のためと称して、国として被災者の感情に目をつぶっても原発開発の見直しをして原発回帰にカジを切ることに踏み出すようである。また、新しく原発を作ってもすぐには営業運転が出来ないので、現行法では最長60年と定めた運転期間を延ばすことを明記した。これによって新たな原発開発が決定したわけではないが、多くの問題が山積みされているので、時間をかけて検討していくという主旨である。
そもそも世界で唯一の被爆国として原爆、及び核関連事業に対して最も拒絶反応が強い筈の日本が、こう簡単に初心を忘れるとは思いも寄らなかった。自民党の姿勢は、核に対して拒絶どころかむしろ行動的なのである。
今ウクライナ侵攻で世界中から非難されているロシアが、保有する核兵器の使用を仄めかして核戦争の緊張感と危機感を煽ったことによって、世界はロシア領土への反攻は控えざるを得ない心境である。それでも核を保有していること自体が、大きな軍事的な防衛になると考えている国が多い。現在核拡散防止条約加盟国のアメリカ、イギリス、フランス、中国、ロシアの他にインド、パキスタン、北朝鮮が核を保有している。その中で、インドとパキスタンは度重なる印パ紛争の過程で、互いに核開発競争を繰り広げてきた。パキスタンのシャリフ元首相の如きは、「日本も核兵器があれば、被爆しなかったはずだ」などと愚かな発言をし、自国の核保有を正当化せんがために日本をダシに使っている。インドとパキスタンの核開発競争は、元々同一民族でありながら宗教対立により国が分離したせいもあり、1988年には印パ両国は、ともに相手国に対する威嚇として2度の核実験を行ったほどである。
日本の場合は、核開発から核戦争へ進むことを恐れて、すべての核実験に反対を唱えてきた。だが、アメリカへのお追従もあり、日本だけでは決められない体たらくである。日本は今後原発を開発、推進した後に核問題の対応をどうしようというのだろうか。
さて、一昨日と昨日の暖かさから一転して今日は寒い1日となった。昨日の都内の最高気温が22.3℃だったが、今日は16.6℃である。今日から新型コロナウィルス感染症が、感染症法上のランク「5類」に引き下げられた。東京都内で初の新規感染者が発症してから今日でちょうど1,200日だそうである。国民生活に大きな影響を及ぼしたコロナ対応は、今日から平時へ向けたものとなる。それでも今日コロナの対応は「5類」に引き下げられたものの、世田谷区役所からの案内により、個人的に第6回目のワクチン接種を来る20日に行う予約をしたところである。