5732.2023年5月1日(月) 新聞購読者数の減少はどこまで続く?

 いま2つの視点から注目されていることがある。注目されているのは台湾の在り方と、中国との対応である。それは国際的に進む台湾離れと、中国へ経済的に寄りかかって負った多額の負債である。今日判明した南米のパラグアイ大統領選で、台湾との国交維持派の44歳の与党サンティアゴ・ペニャ氏が中国との国交を主張する野党候補に勝利した。南米では今年3月にホンジュラスが台湾から中国へ国交を鞍替えしたばかりで、パラグアイは南米で唯一台湾との国交を継続する国となった。台湾としては正式に外交関係を結んでいる国は、今では13か国に減って中国の外交圧力が強まっていただけにさぞホッとしていることだろう。

 この期に及んで何故パラグアイは恩のある台湾と手を切ってまでして、一帯一路の中国と国交を結ぼうとする声が強まったのか、そこには貿易面で支援を得たいとの腹積もりがあったらしい。台湾はかつてパラグアイの貧困密集住宅を取り壊し、8,500戸もの団地住宅を建設して提供したり、国会議事堂の建設資金を一部援助、また医療施設等社会福祉施設建設資金を供与したり、パラグアイの厚生面で貢献した。貧民住宅に住んでいた住民たちは台湾への感謝の気持ちを語っている。それを敢えて無視しても中国との外交関係を締結することに賛同した国民には、農業国であるパラグアイが中国に向けて農産物の輸出を拡大しようとの思惑があるからである。アメリカにも南米の反米感情をたきつけた原因があることを承知しているので、ペニャ氏のテコ入れのために選挙前にパラグアイを訪れていたアメリカのブリンケン国務長官もきっと胸をなでおろしていることだろう。

 さて、読書離れと同じく新聞購読者離れが加速しているようだ。かつては、大手新聞社の中には1千万人の購読者を誇っていた新聞社もいくつかあったが、今や見る影もなくなっている。例えば、購読読者数は漸減傾向にあるが、その中でも22年上半期時点で5大紙の購読数は大きく後退した。読売686万部、朝日430万部、毎日193万部、日経175万部、産経102万部にまで減少した。当然経営は苦しい。

 実は、今月から朝日は月額500円の値上げをするとともに、今日から紙面の文字を若干大きめにした。出来るだけ読者が読みやすいようにとの配慮であるが、確かに老眼傾向の我々高齢者にとっては読みやすくなって助かってはいる。同時にポストに読売新聞のハガキ大の広告紙が入っていた。それを見ると朝夕刊合わせて月額4,400円の購読料を読売は「価格据え置き」というものであるが、それは4,900円に値上げしたA紙と比べて月額500円、年間6千円もお得とライバル攻撃の宣伝をしている。裏面には、「本紙は値上げしません」「本紙購読料値上げせず」「読者に奉仕 個別配達網を堅持」と得意げに書かれている。だが、その傍に小さく「少なくとも1年間」と書かれている。あわよくば来年からは、値上げさせていただくとの魂胆であり、やせ我慢と嫌らしさを感じる。

 新聞各社は押しなべて今苦境に立たされていて、日経ではこのところ中堅社員の退職者が後を絶たないという。先に毎日新聞社は法人税支払いを中小企業並みの少額に抑えるべく、資本金を1億円まで大幅に減資した。中日新聞社は決して経営状況が悪いわけでもないが、一気に海外支局5か所をクローズすることになった。それもロンドン、パリ、モスクワ、ニューヨーク、カイロの世界でも情報収集に欠かせない大支局でもあり、それを今後共同通信と時事通信に委ねるようだが、社内外から厳しい声が漏れ伝わっている。

 それにしても新聞の購読者が年々減少していくようになれば、ニュースを知る手段としてはテレビとスマホだけになってしまうのだろうか。これでは、益々新聞は読まず、文字を知らず、文章を書けない日本人が増えることだろう。

2023年5月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com