小田急在職時から熱心に尺八の修行をされておられた先輩が、今ではその道のプロとして活躍され、例年通り今日も都内の「なかのZEROホール」で開催された第45回関東演奏大会で技を披露された。先輩は、会社を中途退職されたが、今では都山流丈清会の代表を務めておられる。この関東演奏大会も公益社団法人日本尺八連盟の東京、埼玉、神奈川各都県支部が主催したものである。入場者はやや少なく寂しい印象を受けたが、尺八、御箏、三味線のお師匠さんやお弟子さんたちが日ごろ鍛えた腕を披露された。先輩はいくつかのグループの演奏では、主にリーダーとして演奏されていたが、ただ先輩だけがひとり独奏もされた。中々格調高いもので耳にする音色は聴き易かった。まぁ貫禄というところであろう。
ただ曲目は、普段西洋音楽を聴きなれている耳には、和風の音はほとんどが初めてで、尺八、御箏、三味線が織りなす音色は風情があるが、口ずさむというわけにはいかない。特に、島崎藤村の詩に曲をつけた「千曲川旅情の歌」は、まさに「小諸なる古城のほとり 雲白く遊子悲しむ 緑なすはこべは萌えず 若草もしくによしなし」を表しているのだが、気持ちが曲に入り込めないせいか、高校生時代に国語で習った時ほどの感情移入はなかった。しかし、全般的に普段テレビでやや煩いほどの音量に早口で意味不明の歌詞の曲を聞かされているだけに、歴史のある和風音楽は落ち着くような気持ちがする。
さて、プロ野球界ではWBCで日本が優勝した結果、活躍した日本代表チームの選手、特にメジャーリーガーの人気が盛り上がっている。最近テレビでは、日本のプロ野球よりMLBの試合実況、当日の試合結果の方が優先されるほどで、日米の時差の関係もありNHK・BSの朝はMLBの実況がある日が多い。このところロサンゼルス・エンジェルスの大谷翔平選手が投手として、また打者として二刀流で活躍しているせいもあり、日本球界の実力をアメリカ人も見直すようになった。特に大谷選手への評価にはプレイはもちろん、その礼儀正しい受け答えや、いつもスマイルを絶やさぬ姿勢に人気はウナギ上りである。今では多くの日本選手がメジャーリーグで堂々と活躍しており、彼らへの評価は高い。
このブームはイチロー選手が渡米する前には想像も出来なかったことである。イチローがメジャーリーガーとして活躍して、彼が日米通算安打数もピート・ローズ選手を追い抜いた時、ローズ自身もイチロー如きにライバル扱いされたのが、よほど癪に障ったのか、誇り高いローズが何と言ったかと言えば、プロの選手が記録を伸ばしたらそれは認める。しかし、プロの記録と高校生の記録を足した数字と自分の記録と比べるようでは話にならないというような話をしていた。つまりイチローが日本で作った記録は、レベルが低い中で達成したものだとして話を寄せ付けなかった。一度だけそのローズ選手の試合を観たことがある。それはフィラデルフィアでレッズから移籍してフィリーズに在籍中のことだった。バッターボックスに入るや、ファンは「ピート!ピート!ピー!ピー!ピー!」とそれは煩かったものだ。
日本の選手がアメリカをはじめ、海外で活躍するのは嬉しいし、力になるものだ。これからも才能ある日本人選手が活躍してくれることを期待している。