去る23日、知床観光船沈没事故が発生してちょうど1年となった。26人の船員を含む乗客の内、まだ6名が行方不明のままである。観光船会社の安全管理が不備だったことが事故の原因とされ、国の安全管理基準も問題とされ責任を問われた。
そして昨日、JR西日本・福知山線で列車脱線事故により107名もの犠牲者を生んでから早くも18年が経過した。これはカーブで運転士がスピードを出し過ぎたことから列車が脱線し線路際のマンションへ突っ込んだ大事故だった。この原因についてJR西日本はスピードの出し過ぎを反省し、カーブ地点の列車のスピード制限をするよう規則を改めた。
いずれも防ごうと思えば、防げた事故である。その点では、昨日漸く日本人の国外脱出を無事終えたスーダンの在留邦人避難は見事と言えるものだった。スーダン国軍と対立する準軍事組織RSFが、停戦に合意しながらも約束が順守されない危険な状況の中で、自衛隊、外務省、現地日本大使館の打ち合わせと連携の下に、サウジアラビアや韓国など他国の協力・支援を得て避難が実行された。中でも韓国は5人の日本人を車両で目的地まで運んでくれたという。落伍者もなく日本人の退避は遂行することが出来た。これには、一昨年アフガニスタンでタリバン政権が再び政権の座に就いた際、混乱する現地から日本人を避難させるのに一部手遅れがあり、救出がスムーズに運ばなかった。今回はその失敗を糧に、早めに準備を進め、ハルツームから陸路を2台の車両に分かれ、ルートも別々にして700㎞以上離れた沿岸都市ポートスーダンまで約30時間かけて移動させ、その後自衛隊機によりジブチまで移送した。
そのジプチには、かなり以前に1度だけ訪れたことがある。1968年1月エチオピアからアデンに行く途中、ジブチで航空機を乗り換えた時だった。その時アデン行プロペラ機を待っているしばらくの間ジブチ空港周辺をぶらついたが、樹木がほとんど見られず太陽がまぶしく暑苦しかった印象がある。とにかくスーダンを脱出した人たちも日本に無事帰国させるまでは、気を緩めるわけにはいかない。
さて、来年のアメリカ大統領選に当たって、民主党のバイデン大統領が再選出馬を表明した。共和党ではすでにトランプ前大統領が再挑戦を宣言している。若者の国・アメリカのトップの地位を、2人の高齢者が争うことになるのだろうか。2人の立候補に対して民主、共和両党の支持者の賛同は芳しいものではない。バイデン氏立候補に対する民主党支持者は賛成が26%、反対が70%、トランプ氏の方が多少ましで賛成35%、反対60%である。今後どれだけ賛成者を上乗せ出来るだろうか。
バイデン氏が2000年の大統領選に勝利を収めた時は、ハリス現副大統領が民主党候補として次の大統領を狙うのではないかと考えられたが、ハリス氏には副大統領就任後さして実績がなく、後継者としては消えてしまった。一方のトランプ氏は、退任後スキャンダル続きで支持が大分落ちている。しかし、共和党のライバル候補がどんぐりの背比べで、トランプ氏に勝てそうな強力な人材もいない。それでもバイデン氏は、トランプ氏が相手なら勝てると思ったのか、老骨に鞭打って出馬を決めた。ただ、バイデン氏は現在80歳であり、アメリカ大統領の激職に耐えられるのか。実際普段でもその歩き方や、話し方を見ていると今ひとつパンチや迫力が感じられない。周囲からも健康面で不安視されている。すでに過去の大統領の中でも最年長であり、仮に再選されても辞める時には、86歳になっている。
一方のトランプ氏にしても現在76歳で、バイデン氏より4歳若いだけで、いずれが次期大統領になろうとも世界のリーダーとしては最年長者である。現在プーチン・ロシア大統領は70歳、習近平・中国国家主席も69歳で高齢者であるが、フランスのマクロン大統領は45歳、イギリスのスナク首相は42歳である。バイデン氏はもちろん、プーチン氏も習近平氏もそろそろ身の退きどきを考えた方が良いのではないかと思う。