5820.2023年4月20日(木) スーダンで印象深かった3つのこと

 アフリカのスーダンで内戦が勃発し、同国内の治安が憂慮されている。ことの発端は、2021年軍事クーデターにより30年近く国を率いた独裁者バシル政権を倒した国軍の2人の司令官が、その後互いに対立し国軍と準軍事組織・迅速支援部隊(RSF)に分かれてそれぞれの指導者となり、主導権争いの挙句に内戦となった経緯という低次元の話である。

 国内では内戦によりすでに270人が死亡した。あまりにも市内の中心部で砲弾が飛び交うために思うように外出も出来ない有様だ。アメリカは、自国民の安全の見地から危険が横溢しているスーダン国内からアメリカ人を国外脱出させることは考えていない。ドイツでは、輸送機による自国民150人の救出を計画したものの空港周辺で激しい戦闘が起きており、救出計画は困難だとして中止した。日本政府もスーダン在住の日本人を救出するために自衛隊機をジブチに待機させたままで、彼らを自衛隊機に搭乗させることが難しい苦境にある。果たして日本の救出計画はどうなるのだろうか。

 スーダンは普段あまり世界の脚光を浴びるような国ではない。だが、他のアフリカ諸国同様に、地下資源が豊富でその中では金の埋蔵量が多く、先進国が金を求めてスーダンに接近する。この内戦勃発直後に早くもロシアが軍隊を派遣すると公表した。取り敢えずは、ウクライナ戦火を収めた後に金の採掘権を得ようとの魂胆であろう。ウクライナ侵攻で世界中の非難を浴び、世界が注視する中でよくぞ火事場ドロボー的な行動が取れるものだとロシアの阿漕なやり方に呆れるばかりである。

 ついては、スーダンと言えば半世紀ほど前に1度だけ訪れたことがあり、今以て印象深い事象が3つばかりある。

 そのひとつは観光スポットとして知られる青ナイルと白ナイルの合流地点である。首都ハルツーム市内の崖の上から眼下に水煙を噴き上げて2つのナイル源流の水が混ざり合う様子を見学したことである。迫力満点だった。

 2つ目は、偶々ハルツーム滞在中に国内の交通ルールが変更になり、車の左側通行が右側通行に変更になったことである。夕食を食べようと市内のとあるレストランに入ったところ、支配人からちょうど良い日に良いところに来たと言い、今晩12時を期して車が反対路線を走るようになるので、きっと衝突事故が起きるからそれまでここにいて見ていなさいとふざけたことを話してくれた。食後そこに居座って真夜中になった時、近くの交差点から大きな音がした。支配人が言う通り、どうやら車が衝突したようだった。支配人はニタリとして、予想通り事故が起きた、現場を見に行ったら好いと無責任なことを言っていた。

 3つ目は、ホテルのロビーで偶然居合わせた地元の若者と物々交換をしたことである。私がジョニー・ウォーカー1本を上げて、若者からは子どものチーターの毛皮をもらったことだ。今ではチーターの毛皮なんて持っていたら税関で取り上げられてしまうが、当時はまだルールも穏やかだった。毛皮は実家に置いたまま今ではどこにあるか分からなくなってしまったが、スーダンの懐かしい思い出である。

2023年4月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com