5719.2023年4月18日(火) 公職選挙法に基づく選挙権と被選挙権

 統一地方選の世田谷区長選と区議選が16日に告示され、昨日から街宣車が地域を回り始めた。気が付かなかったが、現職と新人の一騎打ちである世田谷区長選は、67歳の現職に対して29歳の新人が挑む構図である。参議院議員と知事、更に市区長選では30歳以上の候補者に被選挙権が付与されるものだとばかり思っていた。実際には市区長は25歳以上になれば被選挙権が得られると改めて知ることになった。

 こんな釈然としないことがあった。去る15日和歌山市内の漁港で街頭演説直前に岸田首相に対して爆発物が投げられ、辛うじて首相は被害を免れた。その爆発物を投げた容疑者は以前兵庫県川西市議選に立候補しようとしたが、被選挙権がないことから立候補出来ず、それを不満に思ったのか、立候補を制約するのは違憲ではないかと神戸地裁に提訴したものの敗訴となった過去があったようだ。この容疑者は、現在24歳で25歳にならなければ被選挙権がない。爆発物にせよ、裁判沙汰にせよ、本当の狙いは何なのか、理解し難いが、公職選挙法に規定されているルールは、国民としては守らないといけないと思う。

 一方で、日本では2016年選挙権年齢が20歳から18歳に引き下げられた。これは国内から出た声というより、海外191か国の国、及び地域の内9割近い国々が18歳以上を大人と見做して選挙権を与えている。その点では日本の決断は遅かった。ただ、気になるのは、選挙権年齢を2歳引き下げて若者の声を受け入れようという考えは分かるが、現代の若者の選挙における投票率は、他の年齢層に比べて低いことである。つまり、選挙にあまり関心がないことが懸念される。折角親心により若者にも大人と同じ1票を行使する権利を与えてもそれを実行しない権利放棄が気になる。

 さて、一昨日ドイツが原発の廃止を正式に決定した。メルケル前首相ら歴代政権が掲げてきた「脱原発」を漸く実現することになった。福島原発の事故を深刻に捉え、苦難の末放射能廃棄物処分などを理由に廃止の結論を出した。これまで段階的に原発廃止を進めてきて、一昨日最後の原子炉3基が送電線から切り離され、電力供給を止めた。今後は再生可能エネルギーの拡大を進めて原発に替わる電力の供給を行う。ドイツと同じくすでに脱原発を進めたのは、イタリアとリトアニアである。

 その一方、ヨーロッパ各国でも原発に対する取り組みは、各国の国内事情により対応はマチマチである。昨日フィンランドでは、世界最大級の新型原発が運転を開始した。ウクライナ侵攻によりロシアからのエネルギー供給が途絶えたこともあり、電力不足への危機感から原発再開発の動きが広がりつつあった。この他フランスには新たに6基の原発を建設する計画がある。イギリスやポーランドなども新たな原発の建設を目指している。

 日本の原子力政策はどうかと言えば、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」の典型で2011年の福島原発事故以後、原発開発・推進を公言することは控えてきた。しかし、内心はエネルギー資源不足の日本が、これまで当てにしていた原発を全面的に廃止することは難しく、現状は政府のグリーントランスフォーメーション(GX)実行会議で基本方針を決めたままである。はっきり言えば、原発再開、推進である。それはGX会議の基本方針の内原子力・再生エネルギー項目の4つのポイントを見てみれば分かる。

    1.再生エネルギーや原子力など脱炭素効果の高い電源の活用

    2.廃止が決まった原発の次世代革新炉への建て替え具体化

    3.運転期間40年、最長60年の原則維持、停止期間の運転延長

    4.核のゴミの最終処分の具体化を進める。

 以上である。はっきり言って原発廃止は考えられないようだ。

2023年4月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com