5712.2023年4月11日(火) 政治家の世襲禁止法案を検討しては?

 一昨日行われた統一地方選前半戦の総合的評価として、「日本維新の会」の伸展ぶりが目立っている。特に、奈良県知事選で初めて当選者を出したことが注目を集めている。これは現職知事が立候補を宣言する一方で、総務省官僚を今国会で自らの発言によって物議を醸した高市早苗大臣が推薦して、自民党内に仲間割れの隙を与えた盲点があったが、それでも維新の会の成長は著しい。自民党内でも維新の会の急伸を見て、大阪では解党的出直しが必要だと深刻に受け止めている。23日は5つの衆参院補欠選挙戦が投開票されるが、野党の立憲民主党では自民党批判の受け皿になっていないとの自戒がある。23日に選出される当選者数は決して多くはないが、今後の中央政党の進むべき方向性を暗示してくれるのではないだろうか。

 それにしても今の政治に対する信頼は大分低い。それは、政治家自身の能力、資質が低下しているからであるが、それはあくまで国民が選挙によって公明正大に選んでいるので、その観点から考えれば、国民の政治、及び政治家を見る目が落ちているということにもなる。ただ、私の個人的な考え方を言うなら、個人の意思や考えを選挙で伝えようにも現状の選挙制度がこれを阻んでいると考えている。その大きな壁は、世襲政治家の跋扈である。政治家としての能力や、資質がなくても「世襲」というシステムに乗っかれば、まず当選するには有利であるということだ。かれら世襲派の側に言わせれば、選挙で誰をも妨害したり、不利な立場に追い込んでいるわけではなく、同じ権利を平等に行使しているだけだと言うだろう。だが、外から見れば、決して平等ではない。それは法律に違反しない「世襲」という無形の財産を「世襲政治家」は持って生まれて与えられているからである。この無形財産を他の政治家は持っていない。従って、選挙における優劣は明白である。政治家としての能力以前に理不尽な無形財産によって、世襲政治家の後塵を拝することになる。

 それ故平等な立場で選挙戦を戦う場合、世襲政治家には黙っても財産を手に入れることが出来るような理不尽なことをさせないことがひとつの方法である。それには最初の選挙では、「世襲財産」が手に入らない選挙区で戦わせることである。つまり偉大だった世襲政治家の父や祖父らと同じ選挙区からの立候補に制限を加えるべきであると考える。この期間をどれほどにするのかは、専門家が考えることにして取り敢えず一定期間は親族の世襲を継承出来ない形に制限し、時間が経ったらそれを認めることにしては如何だろうか。

 この点について、政治家の世襲が政治を変えることを拒絶し、政治が旧態依然としている原因であるとして警鐘を鳴らしている有識者も多い。その中で政治学者の間からも声が上がっている例として、「世襲禁止法案」というのがある。具体的内容については公的に詳らかにされていないが、世襲議員が力を持っている国会議員が反対し、素案として提案されるかどうかも分からない。根の深い難問である。しかし、このまま放っておくわくにはいかない。

2023年4月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com