5704.2023年4月3日(月) 大阪は反対の多いIRをどうするのか。

 来る9日の統一地方選で大阪府知事選と大阪市長選も行われる。実は、大阪では2025年に大阪・関西万博が開かれ、会場である人工島の夢洲に大阪府と市が誘致を進めている統合型リゾート(IR)の用地の賃料が不当に安く決められたとして、昨日市民グループがIR事業者と契約を結ばないよう提訴した。

 実はその前段階として、契約締結以前にIRが賭博場であることを理由にIR自体と契約することに大阪府民から反対の声が強かった。しかし、いつの間にやら契約が締結されてしまった。大阪万博は計画当初から海上を埋め立てて人工島を造成し、そこへ賭博場をつくるという計画自体が大阪府と市の強引さによって決定された。2016年松井一郎市長は説明会でIRとカジノには一切税金は使わないと公言した。だが、21年になると液状化が問題となり対策費の負担を巡って市当局内部でIR推進局と港湾局が対立し、同年10月に市長は大阪市議会で公約違反を冒してまで「費用負担は必要」と表明した。その挙句に昨年4月市長はカジノリゾートである夢洲でカジノを行うカジノ事業者から埋立地特有の課題対策への負担が大きいとして対策費の負担を求められ、790億円の巨額の投入を決定した。松井市長の言い分がふるっている。借地料として毎年25億円もらえば、30年で750億円になるというものである。地方行政のトップとしては、おめでたいとしか言いようがない発言である。

 こうしてとかく問題のある賭博場を当面は赤字で発足させ、万博を一見華やかにしようとしている。この後始末はどうするのだろうか。松井市長は9日投票の選挙には出馬しない。お荷物だけを市に委ねて体よくトンズラするつもりである。市の発展などはまったく眼中にないようだ。万博におんぶして悪評高い夢洲賭博場を残して大阪もその尻ぬぐいに追われることだろう。それでも選挙前の予想では、松井市長と吉村知事の日本維新の会が大阪では大分有利だという。まったく選挙とは分からないものだ。
 さて、先月28日に音楽家の坂本龍一さんが直腸がんで亡くなったと公表された。日本人としては珍しいほど海外でも評価され、国内外で映画音楽などを作曲して数多くの賞を授与されていた。中でも1983年に映画「戦場のメリークリスマス」に出演しながら、その映画音楽ではイギリス・アカデミー作曲賞を受賞し、88年には映画「ラストエンペラー」では、アカデミー賞作曲賞とグラミー賞を受賞している。「戦場のメリークリスマス」は、幸いにして鑑賞したが、映画も音楽もとても素晴らしいものだった。音楽家として活躍すると同時に、社会活動家としても反戦、反核運動で市民と一体となって活動し、東日本大震災の被災地でコンサートを行って被災者を励ますことにも熱心に取り組んでいた。

 先日作家大江健三郎氏が亡くなり、今また音楽家の坂本龍一氏が逝った。いずれも一世を画された文化人である。寂しいことである。

2023年4月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com