5703.2023年4月2日(日) おかしくないか? 天下り天国日本

 霞が関の役人の天下りは知る人ぞ知る話だが、ここ数日話題となっている天下り要求には空いた口が塞がらない。元国交省東京航空局長が強引に「空港施設」会社の役職に就きたいと要求して役員になり、一昨年代表権のある副社長になったが、今回やり玉に挙げられたのは、東京メトロに天下りして会長職にある元事務次官が、会社に割り込んで当の副社長を社長に任じるよう要望したという。国交省には、運輸省と建設省が合体しただけに大事業の許認可権が多く、民間企業が認可を得るために低姿勢で対応するケースが多い。つまりお役所に対して企業は弱い立場にいる。その弱点に付け込み圧力をかけて民間企業へわがままな人事を押し付けているのだ。

 以前にある私鉄会社の友人に聞いた話では、しばしば国交省から役人を受け入れるよういろいろのルートを通して要望があるようで、会社としては何とかそれを逃れようといつも考えているということだった。財務省や経済産業省、農林水産省なども所管の民間会社への役人の第2の人生探しで画策しているようだ。

 それにしても利便はあるだろうが、民間会社が適正な経営をするために知恵と努力を払ってやっているのを、現場の実務を知らない役人が中途で入り込んで権威をひけらかし高給をさらっていくのは、社内のモラル上も良くないと思う。昔から日本はお役人には逆らえないとの冷めた空気があり、押し付けられれば運命と思い、諦めているようだ。後から後から繰り返される悪習慣を見直すべきだと思うが、常に有利な立場の役人が遠慮するようにならなければ、日本のビジネス界からこの悪習は消えないのではないか。「空港施設」会社役員からは、「奴隷のように言うことを聞けとも聞こえる」との声まで出たという。役人側に反省の気持ちがなければ、これはいつまでも引きずっていく、厄介な問題であると思う。

 さて、このところメディアでも取り上げられている「チャットGPT」が、膨大な個人データの収集に個人情報保護法違反の恐れがあると各国の保護当局が調査に乗り出したという。その中でイタリアのデータ保護当局が一部の使用を一時禁止すると発表した。具体的にこれを使用したことはないが、あるテーマについていくつかの情報をインプットしてより論理的で具体的な文章を得たい場合には効果的だとされて、アメリカの大学などでも学生がレポートを仕上げるのにチャットGPTを使用するケースがあるという。しかし、それでは学生が考えたり、ディベートしたりするのに時間を割かないことになり、考えない学生を生むことになり、一部ではその効果について疑問視されている。日本ではまだあまり使用されたという話を聞いていないので、話題にはなっていないが、イタリアの例を考えれば、そう軽々に使用するのはどうかと思う。大体AIの技術発展は良しとして、頭の中までAIに頼るというのは、あまりにも安易で怠惰ではないだろうか。

2023年4月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com