5700.2023年3月30日(木) 資質も能力もない日本の世襲政治家

 ネットを見ていて、「世襲」が日本社会に定着して、このまま世襲国家が続くと将来的にろくな国にはならないと厳しい声が載っているのを知り皆不満を持っているのだなと納得した。老舗の商店主や歌舞伎役者が世襲であるのは、それなりに納得出来るが、素質も能力もない二世が、ただ親がそれなりの権限ある地位にいたからというだけの理由で、すべて同じ道を歩むのは本人にとってもプラスにならないし、それ以上に関係者にとっても迷惑千万だと思う。

 端的な例として、しばしば取り上げられるのが政治家の世襲である。これは偶々岸田首相の長男翔太郎氏が、いきなり先輩を飛び越えて首相の「筆頭秘書官」に任命されたことと、岸信夫前防衛相の長男信千世氏が父親の引退と引き換えに次回選挙に打って出ることが、やり玉に挙げられたのである。岸田翔太郎氏は32歳、岸信千世氏は31歳とまだ若く、いずれも父親も本人もまるで自営商店の経営を引き受けたかのようにごく軽い気持ちで、継承が行われるように思える。仮にも国家事業の決定に携わる国会議員という大役を深く考えるのでもなく引き受けたようだが、冒頭から常識的には考えられないようなお粗末な思考回路上にいる。岸田氏は早速父親の訪英に従った折に観光客気分でプライベート行動としてひとりロンドン市内でカメラを駆使していたとか、岸氏の場合は、よほど血縁を自慢したかったのか、首相経験者の曽祖父、祖父、伯父らの名前を公式サイトにアピールして顰蹙を買った。

 そもそも日本は世界でも類を見ないほどの「世襲天国」である。実際現在の岸田内閣の閣僚を見ても首相をはじめ、林外相、鈴木財務相、加藤厚労相、河野太郎デジタル相、浜田防衛相ら閣僚20人の内、12人が世襲政治家である。この他にも自民党幹部には、麻生副総裁、小渕優子組織運動本部長、高木国対委員長、梶山幹事長代行、世耕参議院幹事長ら自民党全体でも約3割の世襲議員がいる。平成以降19人の歴代首相の中に、実に12人もの世襲がいるというから驚きである。アメリカでは、戦後の大統領は14人いるが、世襲はケネディとブッシュ父子だけしかいない。

 かつて自民党内でも世襲問題に疑問符がつけられ、世襲にも条件を付け一定期間立候補を見送ることも検討されたが、いつの間にやら立ち消えとなってしまった。3割も世襲議員がいるようでは、自らの首を絞めるような言動には全体として反対するのではないだろうか。

 一般からネットにも世襲を嘆く声が上がっている。中にはこんなコメントがあった。「日本は世襲富裕層の独裁国家。政治家や企業経営者だけではなく、最近はタレントなどでも世襲、つまり社会の構造は封建時代とかわらない。職業内での競争原理が作用しないので進歩がない。国家全体が衰退していく運命にある」。実力、能力がなければやっていけないスポーツ選手、医師、弁護士、画家や作家、音楽家など芸術家、などを除いては日本では皆世襲制度になって、その世襲主に気を遣ってばかりいて気まずい世の中になるのではないか心配である。

2023年3月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com