5780.2023年3月11日(土) 東日本大震災追悼式と熱狂的なWBC

 東日本大震災が起きて早くも12年が経った。今日は東北地方各地で慰霊祭が行われたが、福島県飯坂町では福島県主催の東日本大震災追悼復興祈念式が行われ、岸田文雄首相が地震発生の午後2時46分に黙とうをささげ、犠牲者を悼んだ。そして岸田首相は追悼の言葉として、福島第1原発の廃炉と、住民の帰還に向けた生活環境の整備や産業の再生支援への取り組みを今後も国が全面に立って進めると述べた。ただ、どうも引っかかるのは、福島第1原発の廃炉に触れ1日も早い復興を誓ったと言ってはいるが、昨年末公表した政府の脱炭素社会への基本政策は、エネルギーの安定供給のためと称して原発政策を強引に進めようとしていることである。それは原子力発電の最大限の活用と、実質的に上限の60年を超える原発の長期運転を認めることや、その内容には、更にこれまで想定してこなかった次世代型の原子炉の開発・建設に取り組むことを盛り込んでいることである。

 被害が最も大きかったのは地形的に海岸沿岸が広い宮城県で、死者15,900人のうち、半分以上の9,544人、建物被害は全壊・半壊を合わせて40万戸のうち、34万戸を占めている。避難者は福島県が多いのは、原発汚染地域が広域的なせいで、全避難者3万1千人のうち、福島県人が2万7千人である。

 追悼復興祈念式では1日も早い復興を誓っていたが、その一方で多くの犠牲者を生んだだけにテレビで現地の様子を見ているとどうも暗い影が漂っているように思えてならない。いつまで経っても震災はそう簡単に忘れられないし、原発の幻想は消えるわけではない。

 さて、そんな空気の中で派手に騒いでいるのはプロ野球ファンである。彼らは一昨日から開幕した2023 WORLD BASEBALL CLASSIC(WBC)で、日本代表チームの活躍に大分盛り上がっている。昨年カタールで行われたサッカーのワールドカップで日本代表チームが期待以上の活躍をしてペスト16入りして大盛り上がりして以来のお祭り騒ぎである。日本は一昨日の対中国戦、昨日の対韓国戦にいずれも快勝した。試合そのものの外にもWBCに絡む野球グッズがバカ売れのようで、業者もほくほく顔のようだ。チームがまとまり、勝ち進むとファンが一心同体となって国内にブームのような雰囲気を醸成する。今年の日本チームは、日本のWBC史上最強と言われ、何人かの日本人メジャーリーガーも加わりそれぞれ活躍している。球場も満員でその声援がすごい。今年のチームでは、エンゼルスでも大活躍している二刀流の大谷翔平選手への注目度がずば抜けている。期待に違わずその大谷選手も期待に応える活躍ぶりである。チームには珍しい選手もいる。母親が日本人のメジャーリーガー、ラーズ・ヌートバー選手であり試合で大活躍しその存在感を強くアピールしている。

 今日の試合前、チームは全員揃って震災発生の時刻に黙とうをささげた。相手のチェコ戦では160㎞の剛速球を投げる佐々木朗希投手が先発登板し、10対2で完勝した。佐々木投手は今日の試合の優秀選手にも選ばれた。彼の父親と祖父母が震災で津波に流され亡くなっている。奇縁にも今日登板するに当たっては、きっと心に期するところがあったのではないかと思う。

2023年3月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com