5779.2023年3月10日(金) 忘れられたか、東京大空襲の日

 昭和20(1945)年の今日、アメリカ軍の大量無差別爆撃作戦によって東京は下町を中心に大きな被害を受けた。東京大空襲である。全体の被害は、死者11万5千人以上、負傷者15万人以上、被災者は約310万人以上で、前年11月から終戦まで何度も東京は空爆に襲われた。被災者の数は、太平洋戦争で亡くなった全戦没者の数に匹敵する。その後広島、長崎に原爆が投下され、日本は降伏することになったが、アメリカ軍部内では日本国内に毒ガスや細菌兵器の使用まで検討されていたというから恐ろしい。仮に戦争が長引いた場合には日本国内は生き地獄になっていたのではないかと想像される。アメリカ国内では日本に原爆を投下したことについて、犠牲を与えて申し訳ないとか、世界で初めて原爆を投下したことに反省の声はあまり聞かれないのは、アメリカ人の独善的な考えである。むしろ戦争を早めに終結させたことにより犠牲者を増やさなかったと無神経に評価する人たちが結構いることである。アメリカ国民が他国の人々が苦しんで命を落としたことに、同情の気持ちをあまり抱かないのはあまりにも無慈悲でありやるせない。

 それにしてもこれだけの犠牲者を生んだ東京大空襲から78年が経った今日、明日の東日本大震災発生12周年に焦点が当てられ、東京大空襲についてほとんどメディアでも報道されないのはどういうことだろうか。NHK「ニュース7」の終盤にやっと放映した程度である。これは、先月26日の2.26事件発生87周年記念日にテレビはもちろん、新聞にもまったく報道されなかったことと同様、日本国民が体験した画期的な大惨事や事件が、現代人の間ではすでに風化してしまったことを意味しているのだろうか。特に反省すべきは、戦時中軍部の御先棒を担いで戦争を煽り戦争に加担したことを反省し、戦争反対の行動に理解を示していたメディアが、今ではそんな気持ちはほとんど感じられず、「のど元過ぎれば熱さを忘れる」の格言通り、むしろ知らず知らず戦争の怖さを忘れているように受け取れる。正しい世論をリードすべきメディアがその気持ちをすっかり忘れてしまっては、忌まわし大惨事も忘却の彼方へ流れるに任せるままになるのではないだろうか。

 これからも日本人として必ず覚えていなければならない事件や事柄を軽視することのないようメディアには心してもらいたいものだ。

 さて、去る5日から始まった中国の全国人民代表大会(全人代)6日目を迎えて、国家主席に習近平氏が3期目の任務に就くことが決まった。形ばかりの選挙を実施し、出席者2,952名が投票し、習主席が獲得したのは、2,952票だった。つまり3千名近い有権者の内例外なく全員がただひとりの候補者・習主席に1票を投じたのである。これでは選挙を実施する意味がないのではないだろうか。投票が1種のジェスチャーではないかと思える。こんな選挙があること自体民主化された世の中の出来事とは思えない。このおかしな政治体制がいつまで行われるのか不透明だが、習近平による作為的な政治体制がそういつまでも続くとも思えない。

2023年3月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com