5656.2023年2月14日(火) 「チャットGPT」の怖さ

 今日2月14日は、ヴァレンタイン・デーである。近くのケーキ店さんには、数日前から店の前にケーキを購入しようというお客さんが並んでいた。ところが、我々が小中学校生のころは、そんな日があるなんてまるで知らなかったし、むしろ父親から旧日本軍がイギリス軍を攻略し、シンガポールを陥落させた戦勝記念日だと散々教えられた。末弟などはこの日に生まれて新嘉坡(シンガポール)の「嘉」の文字を組み込んで「嘉正」と命名されたくらいである。ところが、シンガポールは「嘉」の外にも「加」など数文字が使用されているし、一番驚いたのは、実際に陥落したのはその翌日の15日であると、その当時シンガポールの現場にいた陸軍航空隊の元機長さんから聞いた時である。その後、よく調べてみると確かに15日であると分かった。弟にその話はしていないが、聞いたらどう思うだろうか。

 さて、つい最近になって「チャットGPT」という流行語のようなAI言葉を知った。昨年11月マイクロソフト社がチャットGPTのAI機能を搭載した検索エンジンを披露したのである。チャットGPTの技術は、膨大な情報をもとに訓練した言語モデルを人間が評価を加えて修正し、更に精度を高めた。このAIの性能向上の背景には、言語モデルとデータ量の巨大化と、その計算処理を担う半導体の高性能化があるという。分かり易く言えば、文章作成などで、言葉を単語としてすべて書き込むことによって、単語の集団が1つの文章に仕上がるようだ。アメリカでは昨年11月末から僅か2か月で利用者が1億人に達したと言われている。とにかく質問を入力すれば、恰も人間同士の会話のように自然な回答が返ってくるという。アメリカでは学生が、チャットGPTに宿題をさせるということが問題になっているようだ。ニューヨークの市立学校や、フランスの名門大学でも利用を禁止するところまで制限を広げている。卒業論文もすべてこのチャットGPTが代行したら、学生たちの本分はなくなってしまうのではないか。

 機械や、AIは人間の手を省くことがその基本であるが、考えることまで代行するようになっては、学ぶことにはならないと思う。学問の分野で学ばなければいけない学生らが、「手抜き」をして考えることを止めるということは、本来の目的とは乖離しているのではないだろうか。これでは、学生は皆考えなくなってしまう。手抜きを助長するようなAIは、文化の発展のためには、むしろマイナスではないだろうか。

 それにしても人間の開発する技術はどこまで発展し続けるのだろうか。そして開発が進めば進むほど手を抜き、結論ありきの学問を育てることになる。その過程で、質問されても答えられなくなるのではないだろうか。こうして見かけとは別に人間の知識は、少しずつ退化していくことにならなければ好いがと思う。

2023年2月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com