「ユニクロ」を運営するファーストリテイリング社が、3月から正社員の給与を上げると公表した。これだけのニュースならどこにもある話だが、この会社の場合賃上げ幅があまりにも大きいのでメディアでも格好の話題となって、昨日もこれについてテレビが街で通行人らにインタビューして感想を聞いている姿が見られた。年収で最高40%の賃上げという極端な例ばかりが、切り取られて報道されているが、会社では数%から40%のアップと随分幅を持たせている。だが、正社員8,400人のいずれもが恩恵を受けることが出来る。それでも会社としては、実績に基づいた基本給の水準を引き上げ、現在の給与制度を決めた20年前以降このような全面的な賃上げは初めてというから、メディアの受け止め方と会社の考えの間にやや乖離があるのではないかと思う。それにしてもこのご時世に景気の良い会社があるものだ。穿った見方をすれば、これまでの給与がそれほど高くなかったということも言えるのではないだろうか。
この決断の背景には、当然ながら物価の高騰がある。電気料金、ガス料金の大幅な値上げの外に食料品を主とする日用品・雑貨類が悉く値上げされ、生活が苦しくなったと述べる人が増えた。
会社としてはこれほど大幅な賃上げの狙いは、国内を視野にしたのではなく、むしろ海外社員と国内社員の間に給料面で開きがあることを解消したい思惑があったようだ。日本人の給与が先進国のそれに比べて低いために、ユニクロでも海外社員の給料が国内社員のそれを上回る傾向が見えてきたのではないかと推測する。会社はその是正のために国内社員の給与を思い切って引き上げたというのが狙いではないだろうか。それにしても最高引き上げの40%という数字にメディアも圧倒されたようだ。実情はどうだろうか。ひょっとすると40%の賃上げを獲得した社員のこれまでの給与が極端に低かったのだろうか。そして、来年以降の給与はどの程度引き上げられるのか興味深い。メディアから伝えられる情報だけでは、実態を把握し難い。今年限りの珍事でなければ好いがと思う。
さて、コロナ渦による新規感染者が、政府の行動緩和策とは裏腹にこのところ増え続けている。しかも死者の数がうなぎ上りに増え、ついに昨日は初めて1日に5百名を超えて520名(午後7時半時点)の人々が亡くなった。また、重症患者も増え、病院の重症患者用のベッドが足りなくなる心配が出てきた。友人の中にも感染者が現れている。実際昨日までに日本人の感染者累計は、3千万人を超えたので、計算上は国民の4人にひとりが感染したことになる。海外でも各国によって認識と対応は異なる。これが、入国規制などが難問にぶつかっている。中国政府が日本人への入国ビザを一時発給停止にしたことが、中国側の狭い視野から両国間の外交に支障を来たす恐れが出てきた。