5607.2022年12月27日(火) 中国政府が公表する統計数字のデタラメ

 先月中国・武漢市で中国政府が続ける「ゼロコロナ」政策への激しい抗議行動が起きた。近年習近平政権になってから国民が政府に抗議運動を起こすのは、極めて珍しい。その抗議行動の中でも「中国共産党解散!」とか、「習近平辞めろ!」とこれまでには見られなかった、かなり過激な言葉が飛んでいた。そもそも今世界中でコロナ渦に取りつかれたのは、約3年前にここ武漢市内の卸売市場が世界で初めてコロナの集団感染が確認された時からである。その際政府は武漢市内でロックダウンを実施し、強圧的に都市の封鎖に踏み切った。その結果2か月半で封じ込めに成功し、メディアは武漢を「英雄都市」とPRした。この成功体験が習近平指導部のコロナ対策の基本となった。「ゼロコロナ」政策は最初のうちは効果を上げ、国民の評価も高かった。中国政府は死者の数を最少限に抑えたと得意げに伝えていた。これに味を占めた習近平国家主席は、「共産党の指導と社会主義制度の顕著な優位を示した」と的外れなことを誇らし気に語っていた。まったく社会主義とは乖離した今の中国が、社会主義の効果をアピールするなど見当外れも甚だしい。

 それが今では、感染者が拡散し、12月1~20日だけでその数は、人口の約18%に当たる2億4千8百万人に達した。この数字は政府が発表したものではない。内部資料が漏れ香港のメディアがネット上に伝えたものである。この期間の感染者数については中国政府は正確な数字を公表していない。これまでも連日権威あるジョンズ・ホプキンス大学統計資料に数値が出ているが、中国の数字についてはどこまで真実なのか分からない。昨日香港のメディアが発表した上記の感染者数は、政府が公表した28万人に比べても何とけた外れの900倍の多さである。ついに中国政府はこれまでの公表数字がデタラメだったことが知られることを恐れたのか、数字を公表しないと述べた。世界の大国を自称する国家としては、あまりにも無責任であり、嘘つきを自認していることになる。

 何のPRか不明だが、昨日中国政府はコロナ対策として感染者が拡大している中で、入国者へ義務づけてきた入国後の隔離措置を撤廃すると発表した。今日の夕刊第一面のトップ記事に「中国、『ゼロコロナ』終了へ」と大きな見出しで出ている。恰も中国には最早コロナが収束し、感染の恐れがないことを宣伝するかの俄か仕立ての外国人向けのメッセージである。ところが、日本政府は今日中国からの入国者に対して入国時にコロナの水際対策を強化すると発表した。理由として、中国での感染急拡大が日本へ波及するのを抑えるためだとしている。習近平メッセージとは真逆の対策である。

 その習近平国家主席は、ゼロコロナについて語らなくなっていたが、昨日毛沢東主席が1952年に呼びかけ、当時蚊、ハエ、ネズミ、ゴキブリなどを駆除して伝染病の予防を図った「愛国衛生運動」に倣うとして、共産党と社会主義を持ちだしトンチンカンなアピールをした。こんなからくりに国民は付いていけるだろうか。

 個人的にも中国政府の公表数字が信用出来ないという不信感を抱いている。2年前の夏から昨年2月まで、中国は前記ジョンズ・ホプキンス大学が毎日発表する各国の新規感染者数に、各国では連日複数以上の死者が伝えられたにも拘わらず、中国からは半年間に死者が1人も出なかったという信じられない現象である。このような長期に亘ってコロナによる死者が人口14億人余を抱える中国から1人も出なかったなんてことは考えられなかった。すぐばれるウソを中国政府はどうして公然とまき散らすのだろうか。中国の言うことが信用ならないことはこんなところからも分かる。

2022年12月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com