5605.2022年12月25日(日) ゼレンスキー大統領、異例のアメリカ訪問

 厳しい寒さの中をウクライナは、ロシア軍の攻撃に耐えている。早いものでロシア軍侵攻以来早や10か月が経過した。24日のクリスマス・イブには南部ヘルソン市中心部がロシア軍に砲撃され10人が死亡し、重傷者も多数出た。ゼレンスキー大統領がこれはクリスマス・イブのテロであり、殺人だとロシアを激しく非難した。同時に大統領は、ビデオ声明で今が堪え時とばかり、国民に抗戦を継続するよう呼びかけた。

 そのゼレンスキー大統領は、21日にアメリカを訪問した。戦時下で開戦以来外国へ出たことがない大統領が、どういう手段で出国するか多少興味を持っていた。ウクライナから列車でポーランドへ入り、そこからNATOの戦闘機に護衛されて米空軍機でワシントン・アンドリュース空軍基地に到着したが、外国の首脳としては異例のアメリカ入国だった。普段テレビ出演する時と同じ装束で、アメリカ大統領のような首脳に会うための外交上の身だしなみなどに捉われず、トレーニング・スーツにスニーカーだった。アメリカではバイデン大統領と首脳会談を終えた後に、早速連邦議会で演説し、アメリカの軍事物資支援に感謝すると同時に、なお一層の支援を要望した。議場ではゼレンスキー氏への拍手が高まったが、第2次世界大戦中の1941年12月26日、チャーチル英首相が同じ米議会場で我々は決して屈しないと力強いスピーチを行ったのと同じように、ゼレンスキー大統領も同じ文言で、ウクライナは決して屈しないと演説を結んだ。

 実は、EU諸国では支援に対して最近やや腰が引けている感じがしているが、アメリカでも長引く戦いにそろそろ飽きがきたようだ。アメリカ国内では物価高騰が激しく、ウクライナ支援どころではなく物価対策を求める声がかなり強く上がっていた。連邦議会には、上下両議会全議員が出席する筈であったが、共和党議員の約6割が欠席していた。万々歳の歓迎ぶりとは少々異なっていた。しかし、バイデン大統領は引き続き、支援を約束し、地対空ミサイル「パトリオット」の提供を含む約2,450億円の追加軍事支援を約束した。

 当分の間、ウクライナは軍備面で息をつけるだろうが、いかに領土を侵されたとは言え、そういつまでも緊張感と強い意思を保ってロシア軍と戦うことが出来るだろうか、気がかりである。アメリカのウクライナへの兵器提供について、プーチン大統領は、直ちに軍隊に資金調達の制限はなく、国は軍が要求するすべてのものを提供すると語り、次世代大陸間弾道ミサイル(ICBM)の実戦配備計画について言及した。これではイタチごっこであり、益々停戦の希望は遠くなった感がする。

 さて、このところ日本列島への寒波の襲来が激しく、鹿児島県内や高知市内の積雪に地元民も驚いていたようだが、今日は愛媛県久万高原町に大雪が降り、積雪で停電となり死者も複数出た。県は自衛隊に災害派遣要請をした。名古屋市内でも8年ぶりに10cmの積雪があった。気象庁から今年の気温は過去最高の高さだったと公表されたばかりだが、それも虚ろに響く。今冬はこれからも極寒に襲われそうだ。

2022年12月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com