5596.2022年12月16日(金) 一戸建てに太陽光パネルの義務化とは?

 全国の自治体のトップを切って東京都が新築の建造物に太陽パネルの設置を義務づける条例改正案が、昨日都議会で可決され、成立した。これまでにこれほど話が進んでいたとは都民として寡聞にして知らなかったし、小池知事が昨秋パネル設置化の検討を表明したこともまったく初耳である。何はともあれ2025年度から条例は施行される。問題は、25年度以降新築する家屋に費用のかかる太陽パネルを設置することを義務付けられるのだが、こういう大事なことを都民に充分説明せずに都議会の決定だけで強引に行っても良いものだろうか。

 議会が決めた主旨は理解出来る。その理由のひとつは、気候温暖化が進み脱炭素化の流れの中で一般家庭の二酸化炭素ガス(CO₂)排出量が一向に減らないことである。もうひとつの理由として挙げられたのは、都内にはあまりにも未活用の一般家屋の屋根が多すぎて、都内ではメガソーラーの空き地が少ないことがあるようである。

 しかし、一般的に設置すれば約100万円ほどの費用がかかり、寿命も30年程度の設備を自治体が設置の義務を押し付けるような上から目線の姿勢こそ問題である。ロシアのウクライナ侵攻の影響で電気料金が高騰していることを理由のひとつにしているが、それならなぜそれより前に一般に設置の必要性について啓蒙せずに、拙速に決定してしまうのか。しかも、豪風雨等でパネルが破損する可能性がかなり高い。設置の場所、方向、角度によっては自宅のみならず、近隣に影響を与えかねない懸念もある。
 条例改正案自体はすでに都議会で決定したことであるが、理解し難いことに、本改正案は普通の議案の審議や結論の出し方がいつもと大分様子が違うことである。冒頭都議会の採決に先立ち、最大会派の自民党が採決反対のスピーチを行った。他の会派、都民ファーストの会や、公明党、共産党、立憲民主党などは賛成するといういつもとは逆の採決だった。

 これは、今自民党が防衛費増額を決めるに当たり、閣僚の了解を取り付け、予算を増税や復興特別所得税から転用するような姑息な手段を取っているのと同じことだ。繰り返すが、どうして都民に前広に説明し、理解を得ようとしないのか。小池知事も岸田首相と同様に判断の手順を間違えている。

 我が家も一戸建てで10年ほど前にリニューアルをしたが、すでに建築後42年を経過した。いずれ我々夫婦が冥界へ去った後に、この土地に誰かが新築家屋を建てるとすれば、条例により屋根に太陽光パネルを取り付けることになるのだろうか。

 それにしてもいつもなら都民に負担を負わす政策に反対を唱える共産党が、こともあろうに自民党の反対とは逆に賛成に回るとはちょっと考えられないことである。どうも排出ガス削減のために太陽光パネル設置を全国で最初に実施した自治体として、リードオフマン(ウーマン?)たらんとする小池都知事特有のパフォーマンスに引き込まれたのではないだろうか。

2022年12月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com