5590.2022年12月10日(土) 新聞社の試練の経営と責任

 今朝の朝日新聞の最終頁にファッション・ブランドのルイ・ヴィトンの広告が全面を占めていた。いつもならテレビ欄が掲載されている頁であり、これでは見たいと思う番組をすぐ探せない。先日も同じようなことがあったが、かつてはこのページは、月曜日朝刊が休刊となる日曜朝刊を除いてほぼ絶対的にテレビ欄が占めていた。どうして読者にとって不親切で不便な編集を始めたのだろうと疑問に思っていたところ、偶々友人から電話で最近朝日が購読者離れで苦境に陥っていると教えてくれた。かつて、学生時代に新聞記者を目指すことを考えたこともあっただけに、新聞社の経営がやや気がかりである。

 新聞発行数の減少は朝日新聞だけの問題ではなく、全出版業界を含めて文字離れの傾向が如実に現れた結果のようだ。因みに一般紙の購読総数は、過去20年間に61%にまで落ちている。新聞の総発行部数は1997年の5,377万部を頂点に以後下がり続け、昨年はその数が3,303万部にまで減少した。中でも政治や大手企業の経営手法に辛口の報道をする朝日、東京新聞などに対して、企業はスポンサーとなることを避けるようになった。例えばルイ・ヴィトンのような外国企業の場合は、日本企業の経営事情にはお構いなく、日本の大手企業が広告掲載から手を引いたこの機会に、強引に指値で効果的な最終頁1面を希望の価格で買い取ったのではないかと思う。こうなると新聞社の経営にも響いてくる。発行部数が約4割も減少し、広告掲出も減ることになると経営的にも大分厳しい。こんな時、誘惑に駆られてつい新聞紙上に筆を曲げることがないか心配である。下手をすると論調が曲げられ、読者にあらぬ誤解を与えかねない報道をしないとも限らない。

 「選択」10月号に依ると、今年に入ってから日本経済経新聞社内で若手や中堅記者の大量退職が止まらないという。昨年の退職者が53人だったが、今年はそれを上回るペースで退職者が出ているようだ。彼らは、経営とは関係のない金融、証券部門に属する専門記者であり、社内的な特殊事情があるようなので記事への圧力云々はないそうだが、朝日以外の新聞社でも会社の外から圧力や影響を受けて、真実の記事を曲げることのないことを願うばかりである。いずれにせよ今や新聞業界には厳しい風が吹いている。ジャーナリストの使命感を失わず、同時に新聞社は経営者が自分たちの責任を理解、納得したうえで、しっかりと経営の在り方を考え、健全なメディア経営にまい進して欲しいものである。

 さて、サッカーWCも昨晩から準々決勝が始まり、日本がPK戦の末敗れたクロアチアが世界1位の優勝候補筆頭のブラジルをPK戦で破った。過去21回のWCの内5回も優勝を飾ったブラジルが敗れるという番狂わせに前大会準優勝だったクロアチア国内は熱狂的である。そのクロアチアに惜しくもPK戦で敗れた日本代表チームは昨日帰国して、首相官邸に岸田首相を表敬訪問して、首相から労をねぎらわれ、健闘を称えられた。

 優勝候補筆頭のブラジルが敗れたことで、今後の優勝争いが分からなくなってきた。まだ、当分WCの熱気は続くことだろう。

2022年12月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com