5589.2022年12月9日(金) 杜撰な防衛予算の決め方と実施計画

 岸田政権が来年度以降の防衛費予算に大幅な増額を決めた。財務省としては元々その財源に頭を痛めていたところへ、一気に5年間で43兆円の巨額の防衛歳出である。とてもその財源を生み出す余裕なぞない。岸田首相は、当初表向きは国民に税負担を負わせる気はないと話していたが、本当に約束は守れるのか、またそれでは財源不足を何によって賄おうと考えているのか。

 そもそも今話題に挙がっている防衛予算の計画と実施については、最初からなすべきことを行わず、またなすべき順序が逆ではないかと思う。巨額の防衛予算については、まず国民に分かり易く説明する機会を設けるべきである。その上で賛否両論があるはずであり、双方の意見を正面から戦わせ、双方が納得した時点で、次にそれに対する予算措置を講ずるべきである。ところが、今回の防衛費43兆円捻出については、「予算先にありき」で国民への納得出来る説明はなく、国会での論戦も行われない。国庫の金を政治家たちが勝手に理屈をつけて使おうとしているのだ。しかも足りない分は、腹の内では国民に税負担を負わせようと、この物価高のご時世にとんでもない身勝手なことを考えている。

 例えば、この防衛予算43兆円は、各年度8兆円強を支出して来年度以降2027年度まで実施される。問題は、その後である。防衛力の中身については、今後政府・与党で協議するというが、計画も決まっていないのに、費用だけは先に決めようという魂胆である。項目別に何に資金を投じるかが決められていないのに、前以て資金だけは極力多めに確保しておこうという寸法である。こんな安直な考えで財政政策を行うようでは、利益を負う民間企業ではたちまちのうちに倒産である。その倒産会社社長が、岸田首相ということになる。防衛予算が国家予算の対GDP比2%に届くためには2027年度以降も毎年4兆円の追加財源が必要だと考えているようだ。岸田首相は、個人の所得税が増えるような措置は取らないと言っているが、財源不足を承知のはずである。各歳出の削減を行ったうえで、不足分1兆円程度について所得税以外で穴埋めするといい、財界からは法人税の引き上げについて早くも警戒の声が出ている中で、そんなことが出来るのだろうか。とにかく岸田政権は、取らぬ狸の皮算用が多すぎる。

 岸田政権は、日本国内の事情で税制を運営するのではなく、外からの圧力に屈して日本国民にしわ寄せしているのである。しかも武力を放棄という日本憲法違反を犯しながら、日本の防衛予算を増やして外国の要望に応えている。今年5月に首相がバイデン米大統領と会談した際、防衛力の抜本的強化について防衛費の相当な増額を確保すると約束してしまった。もちろん日本国民には内緒で早まった判断をした。こうしてアメリカの意のままに動かされているのが、同盟国日本の現状である。他人の意見を良く聞くと自画自賛していた首相は、強いものに巻かれているだけではないか。そろそろメッキが剥げてきたようだ。

2022年12月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com