5683.2022年12月4日(日) 戦争知らず戦争大好き人間が溢れる世の中

 先月30日午前、日本周辺の海域に中国の爆撃機2機と、ロシア軍機2機が飛んできたことがその機影から判明した。最近中国とロシアが競うように日本近海に飛来して恰も日本を威嚇するかの如き行動をしている。その後同日午後になって中国爆撃機2機とロシア爆撃機2機が編隊を組んで竹島上空に現れたという。更に4機は東シナ海、太平洋まで飛行したようだが、その途中で中国の戦闘機も加わったという。こうした威嚇飛行は、3年前に確認されてから5度目だというから好い加減にしろと言いたい。

 今年2月にロシアがウクライナに侵攻して以後、欧米のロシア非難は強まるばかりだが、争いごとが好きな中国はロシアを支援するばかりで、戦闘が激化することに対して肯定的な態度を取っている。欧米との軋轢が強まるにつれて、中ロ両国は接近し、軍事的連携を進めつつあるようだ。ロシア国内ではこのウクライナ戦争に対して、兵士らの家族や、遺族らの間からも反対の声が高まっているようだが、近視眼的なプーチン大統領は、彼らの前で「人はいつか死ぬ。問題はどう生きるかだ。あなたの息子は目的を果たした」と彼らの気持ちを考えることもなく、戦争賛美、戦死肯定論を説いているというから呆れるばかりである。

 戦争についてふっと思うことがある。これまでに映画やドキュメント番組、ニュースなどで戦争の現場写真などを見せられる機会が、少なからずあった。ただ、これは現場に居合わせて銃弾が飛び交う危険な、死と背中合わせの現場ではない。あくまで耳目で知るだけである。戦場というのは、類ない恐怖感を伴うものである。外地の戦争の現場を取材したジャーナリストらはともかくとして、日本人では77歳以下の戦後生まれ世代は、生の戦争体験がない。従って戦争の怖さは、言葉では知っていても目で見たり、感覚的な臨場感から身体全体でそれを知っているわけではない。

 翻って自分自身について言えば、僭越であるが、小学校入学の年に終戦となり、それ以前にしばしば米軍機来襲の都度、近くの防空壕に逃げ込んだり、焼夷弾の落ちる様子も見て身震いしたものだ。ベトナム戦争下に実戦現場でも銃を向けられ怖い経験をした。戒厳令下の地で軍隊に身柄を拘束されたこともある。身体に銃を突きつけられて体がゾクゾクした経験もある。生身で戦争を知っているつもりである。だから絶対に戦争は止めるべきだとの信念が強い。プーチンにしろ、習近平にしろ、戦後生まれで戦争を知らず、戦争の怖さを知らずに国家の軍事部門の最高職にいる。プーチンの如きは、いざとなれば核のボタンを押すぞと世界を恫喝し、まるでゲーム感覚である。日本の国会議員や防衛省幹部とて同じことが言える。彼らはほぼ全員戦争体験がない。机上の戦争論、防衛論を繰り返すだけである。それ故財政が厳しくなる中で過大な防衛予算を分捕ろうとしている。上記のように中ロの空軍機が姿を見せることに対して過剰反応し、来年度予算概算請求の中で敵基地攻撃能力を保有することで自民、公明両党が合意し、政府は国家安全保障政策の文書に盛り込まれることになった。国会議論もなしに、憲法にも触れる先制攻撃を許容しようというのだ。

 ♪戦争が終わって僕等は生まれた 戦争を知らずに僕等は育った~♪

 とうとう彼らが育って戦争を知らない大人たちばっかりになってしまった。

2022年12月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com