5677.2022年11月28日(月) 中国国内に反抗ののろしが上がったか?

 ほぼ30年ぶりの再会だった。長らく参議院議員を辞められた水落敏栄・日本遺族会会長を改築された九段会館に訪ねた。水落氏は去る7月まで参議院議員を3期18年も務められた。現在は遺族会会長として主に太平洋戦争戦没者の遺族支援活動に携わっておられる。議員時代は文部科学副大臣を2年間勤めて甲子園で夏の高校野球開会式で始球式を務められ、またリオ・パラリンピックでも役員として開会式に出席されたことがある。約20年間マリアナ諸島の遺骨収集業務でご一緒したので、本部を設置したサイパンのホテルで毎日顔を合わせたものだ。お互いにやりがいがあり、仕事自体も楽しかったと遺骨収集事業の懐旧談で時をつぶした。時の経過と時代の変化もあり、もうああいう崇高な仕事には携われないなぁというのが懐かしさでもあり、寂しさでもある。これからは、もう少しお会いする機会があるかも知れない。

 さて、中国政府の厳しいゼロコロナ政策により、自宅に閉じ込められた国民から不満が出ていたが、今まで共産党と政府に対して不満を言えなかった人々が、ついに声を出して抗議活動を始めた。共産党1党独裁政権の中国では、近年政府に対する不満や抗議がぶつけられることはほとんどなかった。それが、去る24日新疆ウィグル自治区のウルムチ市で火災が起きて10人が犠牲になったのをきっかけに、昨27日には上海市内のウルムチ通りに多くの人が集まって習総書記の辞任を求める動画が出回ったり、習近平総書記が学んだ北京の精華大学では言論論統制への反発から「今声を上げなければ生涯後悔する」と訴える動画が拡散したようだ。今後地方都市へ拡散していく可能性がある。

 それにしても近年の中国では、党並びに政府批判は珍しいことである。これまで若い学生らから一言も政府への抗議なぞ発せられたことがない。その点で官憲当局も油断していた可能性はある。中国ではいかに政治的、経済的に追い詰められた状態でも、学生らは政府に対して抗議ひとつ行わないのはなぜか、共産党独裁国家主義の本質だけを学び、それに洗脳されて多くの学生たちが、独裁主義を受け入れてしまったために、敢えて他のイデオロギーに基づく国家形態のありように目が向かなかったのではないかと考えていた。その洗脳された学生たちがこれまで声を発しなかったことが、党指導部を思い上がらせ、党の思うままに国家を指導することになった。

 抗議運動が新疆ウィグル自治区から発生したことに問題とその原点があると思う。かねてより欧米諸国より同自治区の人権と民主化弾圧に対して中国政府へ厳しい非難と抗議が寄せられていた。ロイター通信が配信した一部の映像には、中国国歌の一節が書かれたプラカードが掲げられていたという。それは「立ち上がれ!奴隷になりたくない人々よ~」という政府に対して立ち上がれと呼び掛けている国歌とは、皮肉である。

 ともかく中国政府の人権抑圧政策の下で中国国民はひたすら我慢を強いられながら耐え忍んできた。反政府的言動はタブーだった。だが、国歌には矛盾する言葉が散りばめられている。国家が求めていた「耐える」から、国民が「正しく戦う」へスイッチしたと思いたい。これがどの程度のスケールになるか分からないが、中国の中にも黙りきって抵抗しない人が立ち上がり、戦う人となって公に顔を見せるようになってきた。これが中国民主化のひとつのきっかけになって欲しいものである。

2022年11月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com