このところ岸田内閣は荒れ模様と言ったら好いだろうか。この1か月間に3人の閣僚が辞任、実は更迭で、昨日は3人目の寺田稔総務相が辞めたが、その後任として総務相になった松本剛明氏が、早くも政治資金規正法違反の疑いを持たれている。加えて、昨日の衆議院本会議で早速居眠りを始めたのである。隣席の加藤厚労相が熱心にメモを取っている間も、上向いて目をつぶったり、下を向いて俯いたり、壇上でスピーチしている岸田首相や議員の話を聞いている素振りがまったく見えなかった。テレビでもその一部始終が放映され、流石に記者に質問されたが、自分は目が細いのでそう見えたのだろうと全く意に介していないようだった。こういう大臣では、また粗相を冒すのではないかと懸念している。
そこへ秋葉賢也・復興担当大臣が新たに自分の政治団体が妻と母に地元事務所の賃借料を支払っていた事実がおかしいと、政治とカネの問題で追及され、4人目の辞任が囁かれている。下手をすると4人目、5人目の辞任、更迭のドミノが実現しかねない。
これは岸田首相が、大臣としての適性を見抜けない人間観察眼の欠如と、彼ら更迭された大臣らの人間性に大きな問題がある。特に気になるのは、これまでに辞任した3人と新総務相は、いずれも東大出身者で、しかも官僚出や政治家系出身であることである。世間知らずで大したことをしなくても暮らしていけるご身分である。一般的に政治家の資質に欠ける連中が大臣になって日本を引っ搔き回しているという印象を受ける。今の政治に国民の関心が薄れるのは、こういう政治家がのさばり出したからだ。
そして、新たに岸田首相にも政治とカネの問題が浮上した。昨年10月に行われた衆議院選に際し、選挙運動費用収支報告書に添付された領収書が公職選挙法違反の疑いがあるという。辞任した閣僚には、説明責任を強く求めていたが、首相自身の説明責任は果たすことが出来るだろうか。
さて、話題を変えてサッカーWCに目を向けてみたい。一昨日の深夜から開会式に続き、各ブロックの1回戦が始まった。開会前からカタールの地で開催されることにとかくの噂があったが、依然として尾を引いているようだ。イラン国内でヒジャブを着用しなかった女性が警察に拘束され死亡した事件以来、イラン国内でデモが絶えないが、女性が死亡したことに抗議するためにイラン代表チームの選手が、イラン国歌を歌わなかったり、カタールの人権侵害に抗議してイングランド選手が試合前に片足を膝まずいたり、グラウンドでも何かと問題が噴き出ている。
実は、石油産出国の新興国カタールは、世界へ向けてWC開催を自国を売り込む機会と捉えているようだ。そのため人権侵害や液化ガス排出などの悪いイメージを払拭するよう、国家がらみでなりふり構わず開催ありき、前進あるのみの態勢である。あの暑い国で屋内スタジアムでないメイン会場が涼しいほどエアコンを利かせていることも地球温暖化を加速させると批判を浴びている。開催にかかる費用総額は約42兆円と見積もられ、東京オリンピック開催費用の約30倍、日本の年間国家予算の約40%だというから、人口僅か293万人の国にとっては途方もない金額である。
WC開催によって多くの外国人観光客が訪れ、その一時的賑わいと彼らの落としたドルがカタールを潤したとメディアによって世界中に伝えられ、カタールの知名度を上げることが、果たしてカタール国民にとってどれほどのプラスになるのだろうか。