待ちに待っていたと言うべきだろうか、4年ごとに開催されるサッカーのワールドカップ(WC)開会式が今日深夜(日本時間)に行われる。12月19日までの長い1か月間は慌ただしさと熱気に一喜一憂させられることになるだろう。日本は1998年フランス大会に初出場して以来7回連続で出場し、過去3回ベスト16に入っている。今回こそベスト8入りを狙っているが、どんな結果になるだろうか、目的を果たせるよう期待したい。因みに通産成績は、21試合5勝4分12敗である。
サッカーのWCは一説に依れば、オリンピック以上に多くの人びとの関心を呼ぶそうだが、100年近いWCの歴史の中で、今回初めて中東の地で開催されることになった。今回カタールに開催地が決定したが、決定の経緯とその背景に多くの疑問を持たれている。ブラッター前国際サッカー連盟(FIFA)会長は、カタールがWC開催地に決定したことについて、サッカーとWCはこの国にとって大きすぎて間違いだったとまで述べている。FIFA執行委員会で最終的な開催地決定に際して、プラティニ・ヨーロッパサッカー連盟(UEFA)会長がカタールに有利になるよう票を動かしたと非難までする有様である。開催地決定に関しては、リベートの存在も明らかになり、前回のロシア大会とカタール大会の開催をめぐっては、広範な汚職があったと告発があった。2015年にスイスの検察当局とアメリカ司法省による捜査が開始され、昨年ブラッター前会長とプラティニ氏は詐欺、業務横領、文書偽造などの罪でスイス当局に起訴され、今年7月無罪判決が言い渡されたばかりである。
近年ファンの多い人気スポーツのビッグ・イベントは、うまくすれば大儲けが出来、政治的な力も得られるので、既存のスケジュールを変更してまでも開催したがる傾向がある。特に、WCは大会開催地の決定によってアメリカTV会社の放映権料とスポンサー企業の支援が、開催経費を賄う好条件のため、大会運営自体がテレビ会社やスポンサーの意向に左右されることが大きい。今回スポンサーがらみで次のような話もあったと聞く。スポンサーの主要企業はアメリカのビール会社バドワイザー社だが、イスラム教国のカタールは禁酒国であり、サッカー場でビールの販売が禁止されたという。ところが、それでは大会開催資金を提供するスポンサーであるビール会社の営業に非協力的で、営業妨害になるということから、ひと悶着あった。その挙句に、ビール販売を解禁したというが、これでは今度はアラーの神が怒るのではないかと思っていたところ、何と販売するのはノン・アルコールビールというオチまでついたらしい。
スポーツ大会ももう少しスポーツ本来のあり方を考え、金儲けなどのしがらみから逃れ、もっとすっきりとした開催を考えてもらいたいと思う。その点では、プロであるよりアマチュアの方が、心からスポーツを楽しむことが出来るような気がする。
さて、今日はアメリカのバイデン大統領の80歳の誕生日、傘寿である。アメリカ史上最高齢の大統領となった。声の張りや動作にやや衰えを感じるが、本人はいたって前向きのようだ。2年後の大統領選で再選され、任期を全うすれば退任時には86歳となる。トランプ前大統領が立候補すれば、その時点で78歳である。2人とも随分高齢である。それに比べれば、1960年の大統領選でケネディ大統領が対抗馬のニクソン共和党候補者を破った時は、ケネディが43歳で、ニクソンが47歳だった。若い国と言われたアメリカも、このところ年老いてすべての言動が硬直化したような印象を受ける。若々しかったケネディ時代が懐かしい。