衆議院の1票の格差を是正するため小選挙区を「10増10減」とする改正公職選挙法が成立し、次回衆議院選挙では選挙区が見直されて行われる。この施行により、これまでの1票の差が2.096倍から1.999倍にほんの僅か縮小する。区割りを見直される選挙区は、全国25都道府県の140に及ぶ。このほかに比例代表ブロックでも「3増3減」となる。こういう国民の権利行使の比重バランスを少なくすることももちろん必要であるが、むしろこの機会に抜本的に国会議員数が、妥当かどうかを別の視点から検討して欲しいと思っている。
この法律改正により国民の投票の権利は、少し公平に近づいたと言えるが、これら選挙区で実際に立候補する政治家にとっては苦悩があるようだ。元々人口の移動、偏りによって1票の重みが是正されることになったので、歓迎されるべきであるが、選挙区が増える地域は好いとして、減少させられる地域から選挙に打って出る政治家にとっては、当選する確率が減るわけでもあり、悩みは尽きないようだ。一般的にそれほど激しい選挙戦が繰り返されなかった地方都市では、比較的保守系候補者が多い。これまで安閑としていられた選挙で当選回数を重ねてきた保守候補にとっては、うかうかすると自分自身が所属する政党から公認されない可能性がある。
吉田松陰、高杉晋作、木戸孝允ら多くの長州藩士を生み、伊藤博文ら歴代首相を最も多く輩出して保守王国として知られる山口県の場合、現在4選挙区であるが、これが3選挙区となり1議席減らされることになった。現在の4人とは、いずれも自民党員で岸信夫前防衛相、林芳正外相、前副総裁・高村正彦氏の子息正大氏に、死亡して空席となった安倍元首相である。幸か不幸か、後継者選出が不安視されていた安倍元首相の選挙区から誰も立候補しないとすれば、現職3人がそれぞれ党公認を受けるだろうが、地域割次第によっては難題が残る。その一方で、選挙区が増える都市圏では、新たに改正される区割りには別の難しい問題があり、早急に区割りが決まるとは言えない。
この改正公職選挙法はあくまで議員数を固定しているが、現状の衆議院議員数465名、参議院議員数248名はアメリカの上下院議員533名に比べても多すぎる。この議員数調整の際に、減らすべき議員数は減らし、増やすべき議員数を増やさず、現状に留めておけば、今回の改正で10名の議員を減らすことが出来る。
現在の国会の様子や、議員の行動を見ていると、真面目に国のため、国民のために活動している議員がほとんどだと信じたいが、最近旧統一教会問題で炙りだされた後ろめたい議員活動を行っていた議員や、参議院文部科学委員会で自分のCDレコードを売り込むような歌手議員がいたり、かなり次元の低い国会議員も散見される。次回の改正公職選挙法では、数合わせばかりせず、議員数を減らすことも検討した方が良いのではないかと思っている。
昨日に続けて今日もまた北朝鮮は懲りずに、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17型」の試験発射を平壌国際空港から行ったと報じられた。金正恩総書記が対北朝鮮で連携を強める日米韓をけん制して「敵が引き続き脅威を加えるなら、断固として核には核で、正面対決には正面対決で応える」と強調した。
金総書記はその場に初めて妻子を付き添わせたというから、どういう気持ちか益々総書記の意図が分からなくなる。