5667.2022年11月18日(金) 税金による半導体新会社設立に疑問符

 一昨日ニュースで半導体開発の新会社が経済産業省のお声がかりで立ち上げられたと聞き、かつて世界でも半導体技術の先頭を走っていた日本の半導体が、近年世界から大分遅れていることを思い起こし、この新会社が期待通り成果を上げられるのか、若干気がかりではあった。新会社はトヨタ、ソニー、NEC、NTT、デンソー、ソフトバンク、キオクシア、三菱UFJ銀行など日本の大手IT企業を中心とする8社で構成され、その名も意味不明の「Rapidus(ラピダス)」と称している。経済産業省の後ろ盾もあって設立記念記者会見では威勢だけは良かったようだ。

 しかし、1988年ごろには日本のシェアが世界でも50%もあったものが、その後徐々に下がり出し、2020年には僅かシェア6%にまで地盤沈下している現状から考えると、今改めて官民一体となって新会社を立ち上げテコ入れしたところで、かつての勢いを取り戻せるのか聊か疑問である。

 このニュースを知った時一番気になったのは、政府はすでに昨年度補正予算で日本国内誘致のために、台湾の半導体業界世界一のTSMC社に6千億円を投じたことである。これ自体が異例である。国民が知らない間に巨額の国の資金が民間のIT業界のために使われているのである。そこへ今また政府が新会社に700億円の補助金を出すことを決めたことである。もちろん政府が日本企業の再建のために投資をすることは理解出来ないことはない。

 しかし、昨日財務省が公表した10月分の貿易統計に依ると輸出は20か月連続の増加の9兆15億円(+25.3%)の反面、輸入も21か月連続の増加で11兆1千億円(+53.5%)で、その差額は▲2兆1千億円で15か月連続の大幅な赤字である。現在日本の財政は、高齢化による社会保障費などの増加でお手上げ状態である。このような状況下に国民に直接利をもたらすものではなく、一部の企業だけに限って補助金を供出するのはいかがなものかと思う。加えて、8社の内1社は3億円しか出資せず、他の7社と合わせても投資額は73億円しかならない。新会社が、実際に生産工場を建設するには、今後約5兆円規模の投資が必要とされており、今後も追加で供出が予想されるだろう。

 そもそもこういう闇に隠れた国民の目を反らすような国費の支出は問題ではなかろうか。もうすこし国会などで議論して、遍く国民にその趣旨と経緯を知って貰うべきであると思う。産業を発展させたいとの意図は理解出来るが、その過程と国民軽視に疑問を抱かざるを得ない。国会で論議されることもなく、国民のほとんどが知らずに、財務省と一部の企業のなれ合いでことを運ぶ。奇しくも昨日の朝日社説でも取り上げ、「半導体新会社 国の主導で成算あるか」と問題視している。

 さて、今日も北朝鮮のミサイル発射が大きなニュースになった。今日発射された弾道ミサイル(ICBM)は、何と排他的経済水域(EEZ)内の北海道・渡島大島の西200㎞地点に落下した。偶々岸田首相はアジア太平洋経済協力会議(APEC)に出席のためタイ・バンコックに滞在中だったが、即座に北朝鮮を非難する声明を発した。北朝鮮は今年に入ってからすでに34回50発以上のミサイルを発射しているが、そこには支援国である中国が北朝鮮に対して何の非難もしないことが北朝鮮をつけ上がらせていることもある。中国も、ロシアも不埒な北朝鮮をバックアップすることばかり考えず、もう少し自らの問題として捉え、行動する良識を持つべきであると考える。

2022年11月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com