5550.2022年10月31日(月) 世界で蔓延る人命軽視の風潮

 昨日韓国ソウルで154人もの死者を生んだハロウィーン騒ぎが、今日多くのTV番組で報道され、今まさに日本もハロウィーン最中にあるだけに注目されている。いつも話題になる渋谷スクランブル交差点の群衆の動きと彼らの行動が、殊更詳しく報じられている。だが、集まった群衆は、所詮烏合の衆である。識者の語るところでは、これらの群衆には主催者とか管理者がいないので、全体を統率出来ないから止めさせろというより、新しい文化のひとつと考え、むしろ参加者がルールを守り常識的に考えて行動するよう仕向ける方が良いとの考えも強かった。しかし、これが文化がどうかについては、異論も出ていた。今日はソウルの事故を受け、日本各地の大都市でも改めて警戒を厳しくするようだ。

 ソウルで多数の死者が出た昨日、インドでもグジャラート州で吊り橋が崩落して、通行中の120人が死亡した。この釣り橋は約140年前に建設され、半年間の修復工事を終え、通行が再開されたばかりだったという。233mの橋を500人近い人が通行して、橋はその重量に耐え切れずに崩落したと見られている。これは責任の所在がはっきりしているから、再発防止策が講じられることだろう。更に、その前日には、アフリカのソマリアの首都モガディシオでは仕掛けられた爆弾が2発爆発し、死者が少なくとも100人、負傷者が300人を超えるイスラム過激派によるテロ攻撃が発生していた。

 どうしてこうも簡単に尊い人命が失われていくのだろうか。結局は、人命がそれほど尊重されていないという証しではないだろうか。自然の災難ならある程度理解できないことはない。だが、ソマリアのような人為的な殺害や、ロシアのウクライナ侵攻などは、為政者の胸三寸で決められる。特に、途上国に成り下がったロシアは、相変わらず次から次へと人為的な企みによって人命を犠牲にしようとしている。恐ろしいことである。いつまで続くのかウクライナ戦線の今後を思うと、ロシアが人為的に核を使用するのではないかと考えざるを得ず、つい不安な気持ちになる。

 さて、地球の裏側のブラジルで昨日大統領選挙が行われ、左派のルーラ・ダシルヴァ元大統領が、僅差で現職の右派ボルソナロ大統領を破り、12年ぶりに大統領に復帰することになった。ボルソナロ氏は、ブラジルのトランプ(米前大統領)と呼ばれて、傲慢で強引な手法が一部では敬遠されていた。アマゾンの森林破壊により地球温暖化防止計画を逆向させた張本人である。ルーラ氏が大統領在任中国民の貧困解消に努めた経験から、国家主導の経済・社会保障政策を復活させると公約し、アマゾンの森林破壊などの環境問題にも力を入れると述べている。一方のボルソナロ氏は、早くもトランプ氏の大統領選敗戦直後と同じ行動に出ている。選挙に不正があったと主張し、選挙結果の受け入れを拒否し、支持者がデモを行う動きを見せている。

 選挙戦は稀に見る接戦となり、勝者50.83%対敗者49.17%でその差は1.66%という際どいもので、新大統領の今後の政局運営は厳しいことが予想される。これからルーラ新大統領が、国民に公約した社会政策をどう実施するのか、過去の実績があるとは言え、したたかな前大統領が隙あらばと狙っているだけに、気を許せない。

2022年10月31日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com