近年恒例になったハロウィーンの時節がやって来た。毎年東京・渋谷のスクランブル交差点で仮装した若者たちが人混みの中で騒ぎを起こし、話題になるとともに物議を醸してきた。過去2年間はコロナ禍の影響もあり、人混みで騒ぎまくるこの時期の集会は自粛を求められ、ごく一部を除いては静かなハロウィーンだった。しかし、今年はコロナが下火になったからとの理由(実際にはこの1週間新規感染者は増加傾向にあり、第8波到来と言われている)で、この3日間は路上飲酒禁止で、酒販売店は酒類の販売を自粛するよう求められたが、行動自粛を要請されることはなかった。これで以前と同じように多分交差点周辺で若者の乱痴気騒ぎが引き起こされなければ良いが・・・と願っている。
そもそもハロウィーンが日本で話題になり、若者が異様な衣装を着て騒ぐようになったのはごく最近である。現在国内では格別時期を特定せずに、9月辺りから11月初めにかけてハロウィーン期間としているようだが、正式には、ケルト人の1年の終わりが10月31日で、この日を以て秋は終わり、冬が始まりに際して行われるケルト人のお祭りとされている。今ではアメリカで民間の行事として定着し、祝祭本来の宗教的な意味合いはない。カボチャをくりぬいた提灯を飾ったり、子どもたちが魔女やお化けに仮装して家々を訪れてお菓子をもらう温かく穏やかな風習で知られている。
自分自身振り返ってみてハロウィーンを知ったのは、1976年旧文部省の教職員海外派遣団とともに初めてアメリカを訪れた時に、マサチューセッツ州ニューベッドフォードの小学校で珍しい飾り物を見せてもらい意味を説明されて知ったのが最初である。現地の先生の案内で子どもたちが「trick or treat!」と繰り返し叫びながら、家々を訪れる行動に附いて行きその場面を見せてもらった。それまでまったく知らなかっただけに、随分変わった趣向の風習だなと思った印象がある。同行した日本の先生方も初めて知るこの風習には、些かびっくりしていたようだった。この当時、日本ではこの風習はほとんど知られておらず、記録によると1983年にキディランドが自社製品の販売目的で、ハロウィーン・パレードを行ったのが最初らしい。まだ認知度が低かったが、97年になって東京ディズニーランドがハロウィーン仮装パレードを採り入れてから認知度が急速に高まったといわれている。
その後この時期にアメリカの教育施設を訪問する都度、ハロウィーンに出逢ったが、素朴で子どもたちにとっては楽しいお祭りで、さぞや子どもたちの幼いころの良き想い出になるだろうと思っていた。しかし、日本では特異なお祭り騒ぎとなってしまったような気がする。日本には日本特有の歴史を持つ伝統的なお祭りが各地で行われているが、それぞれが神社のルールの下で整然と実施されている。その中で並外れてお行儀の悪い日本式ハロウィーンは主宰者がいないだけに、荒れるのも若者任せになっているが、好い加減にきちんとしたルールを決めて周囲に迷惑をかけることなく実施してもらいたいものだと思う。この先30日から11月1日へかけて3日間不祥事が起きないか心配でもある。
さて、来年フランスでラグビー・ワールドカップが開催されるが、その強化試合として今日日本代表チームが、強豪ニュージーランドのオールブラックスと国立競技場で戦い、善戦空しく31対38で敗れた。しかし、WCへ向けて頼もしい試合ぶりだった。前回WCでは初めてベスト8に入ったが、来年は世界のベスト4を目指している。実力も年々上達しているので、何とかベスト4入り出来るよう願っている。