5545.2022年10月26日(水) インド系スナク英首相のお手並み拝見

 昨日のブログでイギリスのリシ・スナク新首相について、旧大英帝国の首相に元植民地だったインド出身者が就任して、一部イギリス国民のやっかみから嫌がらせを受けることを懸念していると書いた。今のところ露骨な声ではないが、静かにそんな空気が感じられるようだ。単に首相がインド出身者だからというだけでなく、一族が破格の資産家であるひがみもあるようだ。過去200年で最年少の42歳であり私のまだ半生しか世界の荒波を被っていないことになる。それにしてもヒンドゥー教徒として初めての首相、そのうえ一族の保有資産も歴代首相で最高というのだからすごい。すべて初めてずくめである。マーティ首相夫人はインド生まれで、今もインド国籍を有する。父親の創業した会社の保有資産が大きく、純資産は約1,480億円といわれ、故エリザベス女王の資産(約590億円)を遥かに上回っている。これらがひがみややっかみを生んでいるようだ。

 一方で、母国インドではスナク氏の首相就任を祝い歓迎し、モディ首相は早速両国間の架け橋になってくれることを期待するとツィッターに投稿した。与党インド人民党のプリティ・ガンジー氏も「独立して僅か75年で立場が一変した」と子どものように歓喜している。国民からは24日に行われたヒンドゥー教最大のお祭りで最高のプレゼントと喜びの声が上がっている。

 インドをルーツに持つイギリス国民は現在約140万人といわれ、白人に次いで多い。彼らは教育水準が高く、白人よりも小中高生徒の平均成績では上回り、弁護士や技術者などの専門職に就く割合が、人種別で最も高い。

 しかし、今年4月にインド国籍のマーティ夫人がイギリスで税制上の「非居住者」資格を有していることから、国外の所得についてイギリスでの納税を免れていたことが暴露され、イギリス国民が生活費高騰による苦難の時期だったこともあり反響が大きく、夫人は全世界で得る所得に対してイギリスで納税すると約束させられたという。

 スナク首相は昨日チャールズ国王の任命を受け、正式に首相の座に就いた。当面トラス前首相が財源の裏付けがないのに、大型減税を目指して市場を混乱させたことを承知のうえで、次代に負債を残さないと明言した。外交、特にウクライナ支援にどう対応するのか、また防衛費増額の要求にどう応えるのか、前途には幾多の試練が待ち受けている。そのうえ首相が所属する保守党は、労働党に支持率で30ポイントもリードされている。2025年1月に行われる総選挙にどう保守党を立ち直らせるのかも大きな宿題である。

 これから何事につけ、国の舵取りを任せられたスナク首相には厳しい目が向けられるだろう。まさかトラス前首相のようにいとも簡単に首相職を投げ出すような無様なことはしないと思うが、実績を上げてかつての支配者・大英帝国の子孫であるイギリス人を見返すくらいのことはやって欲しいものである。

2022年10月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com