今日は今年最も寒気が厳しかった。連日旧統一教会との関係で、国会やメディアから追及され、その都度釈然としない応え方をしていた山際大志郎・経済再生相が、昨日辞任した。あまりにも遅きに失した感がある。自民党としても他に難問を抱えているのに山際大臣と旧統一教会の関係で行動を制約され、身動き出来なかっただけに反ってホッとしていることだろう。高校のちょうど30年後輩にあたる山際氏には、もう少し誠実で明快な説明をし、真摯な対応をして欲しかった。
メディアの眼が旧統一教会問題、円安、物価高騰、ウクライナなどに集まっている中で、昨日沖縄で那覇市長選が行われた。即日投開票の結果、前副市長の知念覚氏が前県議の翁長雄治氏を破って当選した。沖縄は、本土とは異なり難しい問題をいくつも抱えているが、とりわけアメリカ軍基地が厄介である。その中で今焦点とも障害ともなっているのは、普天間基地の辺野古への移設計画である。これには県民の間で反対の声が強い。沖縄全体の問題となれば、県内の基地問題として「オール沖縄」勢力の下に移設反対を唱える候補者が勝つ。しかし、自治体単位になると宜野湾市の普天間基地と名護市の辺野古は地域が狭く、反対も限られるだけに「オール沖縄」のプラス面を力として思うように利用出来ない。実際これまで参院選や、知事選では「オール沖縄」の力を全県的に盛り上げ勝利することが出来たが、今回の那覇市長選では「オール沖縄」の声を生かすことが出来なかったように思う。
「オール沖縄」サイドが、県民の間では辺野古埋め立て反対者が7割もいた結果にも拘わらず、その県民投票の結果を生かせず、政府の援助が充分得られない実情から、少しずつ政府寄りになりつつあるように感じている。それを如実に証明しているのは、知事選では勝てなかった「オール沖縄」派に対して、今年行われた県内7市長選では、すべて非「オール沖縄」派候補者が勝っていることである。選りによって敗れた翁長氏の父・翁長雄志元知事の後継だった城間幹子現市長は、翁長氏の子息の対抗馬だった知念氏支持に回った。城間市長は、辺野古移設反対の思いを込めて「オール沖縄」に代わる新たな枠組みを構築することを期待しているとコメントしている。
さて、少々世界の耳目を集めたイギリスの新首相選出の過程で、9月の党首選でトラス首相に敗れたスナク前財務相が、トラス首相の辞任により無投票で保守党党首に選ばれた。そのまま新首相に任命されることになっている。42歳は史上最年少の首相である。噂に上がっていたジョンソン元首相は、党首選への出馬を見送った。他に出馬を模索していたモーダント下院院内総務も出馬しないことになった。イギリスは今コロナ禍の経済対策で借金がかさみ厳しい状況にある。消費者物価指数が前年比10%を超えている。ロシア産の比重が大きかったガスや原油の市場価格は高騰したままである。新市長は、これまで財政通として鳴らしてきたが、イギリスが現実に厳しい現状からどうやって脱出出来るのか、早速手腕が問われる。
ちょっと気になるのは、スナク新首相はオックスフォード大学で学び、スタンフォード大学でMBAを取得した英才であるが、若干気がかりなのは、偶々旧イギリス植民地だったインド出身であることから、誇り高いイギリス人のメンツから一部の国民に思いがけない嫌がらせをされることがないだろうかという懸念である。