5541.2022年10月22日(土) 円相場、慌ただしいアップダウン

 どうも分かりにくい外為市場のカラクリである。円安が急速に進行し、遂にニューヨークでは日本時間の昨日9時半ごろ1㌦=151.94円まで下がった。ところが、今日午前1時50分ごろには、144.50円まで円が回復し、7.34円も円高になった。この過程については今日の朝刊には大きな円安の記事の中の一部に円高と書かれているが、今日のテレビ報道を観ている限り、あまりこの円高については触れていない。日本政府も何らの発表もしていない。日銀が覆面介入したような複雑な事情が秘められているのではないだろうか。ニューヨーク市場の取引参加者は、「金利など他の指標は動かない中で円だけ急騰した。日本政府が為替介入した可能性がある」と話している。どうも気がかりなのは、多くの関係者が、日本が9月に続き再び為替介入を行ったとの予測が流れる中で、日本政府・日銀はこの点について何のコメントも出さないことである。それでいて、アメリカが利上げを加速させる一方で、日本は相変わらず金融緩和策に固執している。夕刊には、朝刊に続いて「政府・日銀、再び為替介入 7円超急騰、一時144円台」との見出しで伝えられたが、政府・日銀から説明はなく、鈴木俊一財務相は「投機による過度な変動は容認できない」と牽制球を投げるだけで公に為替介入をするような円安防止対策を全く打とうとしないことである。どうも責任感がなく国民への説明責任を果たしていない。

 「円高は遠きにありて思うもの」だろうか。思い起こすと、東日本大震災が発生したほぼ半年後の2011年10月には1㌦=75.32円だった。現在の約2倍の円高だった。

 さて、国内の苦しい問題は政治家が直ぐには解決出来ないことばかりだが、今世界中から注目を集めているイギリスのトラス首相の辞任も自らの言動が招いた無思慮、かつ拙速な行動にある。1か月半前に首相就任の折には、存命のエリザベス女王から承認され、国葬にも出席するという光栄な立場にいたが、政治的手腕については、苦しい国内の経済的事情の中で大型減税をぶち上げ、国債増発による金融市場の混乱を招き、あまつさえ財政悪化を懸念させた。政権は金融市場から全面否定という反応で、ポンド急落、金利急騰、株価急落を招来させ、財務相を更迭した。これが責任を部下に押し付けて自らは責任を取らない冷酷な対応として党内外の批判が高まり、更に支持率が7%にまで下がり、首相の地位に留まっていることは難しいと判断し、自ら史上最短首相という芳しくない負の「称号」を手に首相の座を去ることになった。

 その傍ら、トラス首相と同様、イタリアでも史上初の女性首相が誕生しようとしている。先月行われた上下両院選挙で極右政党「イタリアの同胞(FDI)」党首のジョルジャ・メローニ氏が勝利宣言をした。LGBTに反対し、ジェンダー思想に反対、イスラム主義暴力に反対、集団移民に反対などかなり過激な保守思想を堅持しているようであり、前途は必ずしも平穏ではないと予想される。この国の政治も難しいところがあり、大分昔にわがままな政権運営をしてとかくの噂が付きまとっていた鵺(ヌエ)のようなベルルスコーニ氏が、今も蔭で暗躍しているようで、その辺りももう少しすっきりさせないとクリーンな政治は望めない。イタリアでは、大統領が首相指名をするので、まだ若干首相指名には時間がかかるかも知れない。

2022年10月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com