5538.2022年10月19日(水) 政府が傍観する円安進行

 円安が止まらない。ついに昨日の東京外為市場では、1㌦=150円台目前まで下落した。政府、及び日銀は先月22日24年ぶりのドル売り円買いの為替介入に踏み切ってから1か月近く経過するが、それでも介入した当時の水準から4円以上円安が進んだ。振り返ってみると昨2021年冒頭は今から考えると円高基調が維持されていた。実際、2020年は1㌦=103.5円で閉め、翌21年はそのままスタートした。7月に111円となってから年末は113.26円で終わり、明けて22年に入ってから115円台に、4~6月には120円台に、そして7~9月に130円台となり、10月1日に144.81円と円安は大きく進み、昨日は149.22円にまで下がった。この1年間で実に35.02円も円高が進んだ。ここまで円安が進むと物価が上がり一般家庭への経済的影響もかなり厳しいものがある。電気、ガス、水道料金をはじめ、ガソリン代金も大幅に値上げされ、家庭は悲鳴を上げている。この3年ほどコメの新米価格が下がり続けていたが、何と今年は安値が一転してそのコメまで値上がりしたのである。

 ただ、最近の円安動向はアメリカがインフレを抑制するためとの名目で高金利を続け、それは日本円ばかりでなく各国通貨の下落へ導いている「ドル独歩高」に繋がり、各国とも日本ほど極端ではないが、ドル高に悩んでいる背景がある。

 この円安について、衆議院予算委員会では与野党の激しい論戦が繰り広げられた。野党は円安が進むのを放置しながら物価高対策をしても砂漠に水をまくようなものだと追及し、ゼロ金利政策の変更を求めた。また、この円安を招いた黒田日銀総裁がまだ来年3月まで残っている任期完了を待つことなく更迭を求めた。当然黒田総裁は反論し、「金融緩和がまったく失敗したと言うのは事実に反する。金融緩和はデフレを解消することを目指している。辞めるつもりはない」と強く拒絶した。また、岸田首相は原材料などが高騰しても価格転嫁を進められれば賃上げに繋がり、物価高を乗り越えられると安易に考えているようだが、この考えは、給与所得者にはある程度当たっているが、そうでない職種の人たちにとっては空念仏に過ぎない。

 ここで毎度厳しい局面に至ると最高の責任者である財務大臣の発言が注目されるが、いつもながら前向きなコメントは語らない。昨日も鈴木俊一財務相は、「今日もしっかりと市場の動向を注視する」とお決まりの一言を遺しただけで、前向きな対応を呈示しなかった。喜んでいるのは、インバウンド解禁で訪日しショッピングで買い漁っている外国人観光客と、日本の輸出産業だけであろう。

 実は、手元に200㌦ほど持っている。いつも海外へ出かけるための僅かな準備金のようなものである。慌てて両替しなくても直ぐ対応出来るように、常に身近に保有している。ところが、コロナ禍により海外へ出かけるチャンスがほとんどなくなった現状と、例えコロナが終息しても健康面で以前のように自らの健康に太鼓判を押せる状態ではないので、海外旅行の機会が少なくなると考えている。いくらでこれらのドルを購入したのか、記憶にはないが、仮に110円程度だとしたら8千円程度の為替差益を得たということになるが、どうも実感がない。

2022年10月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com