5536.2022年10月17日(月) サッカー天皇杯の大番狂わせ

 スポーツでこれほどの番狂わせはそうざらにないと思う。昨晩行われたサッカー天皇杯決勝戦である。延長戦でも決着が付かず、PK戦でJ2のヴァンフォーレ甲府が、J1のサンフレッチェ広島に勝って初優勝を決めた試合である。いわゆる下克上である。何と甲府は今季J2リーグ22チームの中でも、下位の18位に低迷していた。地元チームの予想もしていなかったまさかの優勝に甲府市内では号外も発行されたようだ。チーム自体もよもやサッカー界の頂点に立てるとは思ってもいなかったようである。

 トーナメント戦では運不運が作用することはあり得るが、長期間に亘って多くの試合をこなすリーグ戦では実力が表れるものだ。弱いチームが上位チームに勝つチャンスはそう多くはない。それを甲府は短期決戦のトーナメント戦で成し遂げたのである。ともかく3回戦以降はJ1所属チームを5試合連続で破って栄冠を獲得した。これで来シーズンのアジア・チャンピオンズ・カップへの出場権も得た。まぐれではこう連続して強豪チームに勝つことは難しい。予想外の天皇杯獲得にヴァンフォーレ甲府は、1億5千万円の賞金を獲得してニタリとしているだろうが、その一方で来季はアジア・チャンピオンズ・カップ出場のため海外へ出かける機会が多くなり、その間隙にリーグ戦に出場しなければならず、日程調整に頭を悩ませることになるだろう。最大の問題は現在のホーム・グランドが海外チームと公式戦を行うための条件をクリアしておらず、これからグランド問題をどうするのか知恵を絞らなければならない。

 それに引き換えてプロ野球も日本シリーズを前にして、セ・パ両リーグとも早々に出場チームが決定した。今年は昨年に続いてセ・リーグ優勝チームのヤクルト・スワローズとパ・リーグ優勝のオリックス・バッファローズの対戦となるが、ここには下克上は早や消滅した。いずれもリーグ優勝チームがクライマックス・シリーズで勝ったからである。そもそもこのクライマックス・シリーズが厄介ものである。各チームが長いペナント・レースを戦い、漸く勝ち抜いたチームがリーグの代表チームとして日本選手権に出場するのは当然のことである。にも拘わらず、一旦決まったリーグ戦の順位を軽視するようなクライマックス・シリーズなんて制度を設置して、折角勝ち得た優勝チームのプライドとヴァリューを傷つけるようなシリーズを行うなんてペナント・レースの権威を台無しにしてしまう。

 例えば、クライマックス・シリーズの出場チームはリーグ戦で3位以内であるが、仮に3位のチームの勝率が5割を割っていて、そのチームがシリーズを勝ち上がり、日本シリーズでも勝った場合、1年間戦って半分も勝てなかったチームが全12球団の中で最も強いチームと認定されてしまう。今年は結果的に日本シリーズへ出場すべきチームが出場することに決まったが、何かが欠けているような気がしている。アメリカMLBのポスト・シーズン・ゲームとは考え方が違う。金儲けのためにクライマックス・シリーズを実施するなら、他に観客を呼び込む別の方法があると思う。

 日本のプロ・スポーツも年々盛んになり、華やかになってビジネスとしても成り立つようになったようだが、考えてもいないレア・ケースが発生する可能性がある。中々難しいものだなぁと思う。

2022年10月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com