5535.2022年10月16日(日) 王室、皇室が平穏に存在するためには?

 イギリスのエリザベス女王が亡くなられてから1か月余りが経過したが、女王は70年という最長期間に亘り在位され、イギリス連邦国家の象徴としてその地位におられただけに国葬には、英連邦諸国をはじめ世界中から多くの首脳、要人が参列された。だが、今後の王室に対する不安や懸念が囁かれてもいる。とりわけ女王の後を継がれたチャールズ新国王が皇太子時代に私生活面でとかく問題児であっただけに、王室の将来が危惧されている。世界的にかつての王家、王室が少しずつ姿を消しているが、そのほとんどは政治的権力を握り独裁的に君臨して、軍事クーデターや民主化運動などで追放された例が多い。特に歴史的に長く王制を踏襲していたエジプト、エチオピア、イランなどでは歴史と伝統を誇った王室が廃止され、今やかつてのように国王、皇帝は王座に就いていない。

 ヨーロッパでは国家の象徴としての王室が今も残されている国が大分あるが、時代の流れもあり、その存在に対する見方も厳しいものがある。そのため王室は国民にとってある程度模範的な存在であることを意識して愛される王室であるよう心掛けているようだ。

 その中で最近王室内に内紛のような話題を提供した国がある。それは国民の間にも絶大な人気があるデンマーク王室で、先月28日にマルグレーテ女王が、突如次男で王位継承順位第6位のヨアキム王子の4人の王子と王女の称号を来年1月以降使用出来なくなると公表したことである。この唐突な知らせにヨアキム王子が激怒して、王室内の内輪もめを公衆にさらす前代未聞のスキャンダルに発展した。女王はその公表のやり方について遅ればせながら今月3日に謝罪したが、公表した事実を取り消すことはしなかった。

 女王には2つの考えがあったようだ。そのひとつはヨーロッパ各国の王室には近年スリム化の傾向があり、王位継承順位第1位の長男フレデリック皇太子にも称号を持つ4人の子どもがいて王族が多いということに配慮したことと、2つ目に王族の称号を持つことは、多くの責任と義務を伴うので、ヨアキム王子の4人のこどもには王室の義務に煩わされることなしに普通の生活を送れるようにしてあげたいというのが本心だったようだ。

 マルグレーテ女王の深謀熟慮は理解出来るにしても、突然自分の子どもたちが将来の道を塞がれたことを事前に連絡もなく公表されたことに、ヨアキム王子の怒りが表れたのだろう。いずれにせよ、公表の仕方や、手順を誤ったことは女王、並びに王室の拙速な公表の仕方だったと思う。

 王室の経済的スリム化は当然であるが、翻って日本の皇室については支出がスリム化されているとは言えないように思う。最近皇族方のお住まいの新築、改築の情報が聞かれるが、国民の知らないところで全て決められている。これは皇族方の考えというより宮内庁の責任であるが、もう少し国民の負担、及び知る権利を配慮してもらいたいものである。

 いずれにせよ昔の王族はその必要経費を自らの力で産み出したがために、他人が口出し出来るものではなかった。しかし、今日ではそれらの必要経費はすべて国民が収める税金によって賄われている。その点を国ももっと考えるべきであると思う。

2022年10月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com