5532.2022年10月13日(木) 国連の機能不全と明石市長の引退

 昨日国連総会は緊急特別委員会を開き、ウクライナ東部・南部4州で強行された「住民投票」と「ロシアへの併合」は違法だとして非難する決議を賛成多数で採択した。日米欧など143か国が賛成し、反対はロシア、北朝鮮、ベラルーシ、シリア、ニカラグアの僅か5カ国だった。但し、棄権した国が中国、インドをはじめ35か国にも上っている。決議の主旨には賛成だが、ロシアへの同情から採決から逃げたのだろう。2月にロシア軍の侵攻が始まって以来、国連総会決議は4回目である。少しずつロシア非難決議への参加国が増え、ロシアの国際的孤立が浮き彫りになっている。決議では4州の帰属変更を承認しないよう各国や国際機関に訴え、ロシアに対しても一連の決定を撤回するよう求めた。しかし、残念なことにこの総会決議には法的拘束力がない。この点で、国連の機能不全に対する不満がまた噴き出ている。国連安保理事会の決議は、例え多数票を得ても5大常任理事国の内1国でも反対票を投じれば、決議は否認される。そこには必ず反対票を投じるロシアや中国のような国がいるからである。これではこの先国連が何を提案してもよほどロシアや中国にとってプラス面に寄与することが明らかにならなければ、両国はいかなる決議採択にも反対し、その他の多数国の意向は拒絶されることになる。ここに国連改革の声が生れる理由があるが、いくら話し合いをしても改革自体に異を唱える国がある以上無意味であるような気がしている。

 国連決議がたった2か国の身勝手な行動で提案が無効になるのを防ぐためには、8~9割以上の国が賛成なら承認と認めるか、或いは、一度拒否権を使用されてももう一度審議のうえ採決を行い、2度目の拒否権は不使用とする少々強引な手法を取り入れることを考えても良いのではないかと愚考する。
 さて、これまでとかく傲慢な発言をしてメディアを賑わせていた兵庫県明石市の泉房穂市長が、突然まだ59歳で政界から引退すると爆弾発言をして新たな話題になっている。少々口が悪く、下品な発言をして職員を怒鳴りつける不遜な態度や発言に顰蹙を買ってもいた。私自身随分乱暴な市長だと思っていたが、ここへきて再び市議会で市議との間に諍いを起こし、挙句に職を去ると公言した。

 この度物議を醸した原因は、市長に対する問責決議案を提出しようとした市議に対して、「選挙で落とすぞ!」と恫喝的な発言を浴びせたことが、広く報じられ、「暴言市長」だとか、「民主主義に対する冒とく」と非難された。実際問責決議案が可決されたことを受け、市長は暴言の責任を取るとしてさっさと引退を決めた。この間市長側と市議側との間には、真摯的な話し合いはなく、互いに自己主張を繰り返すだけだったようだ。

 それにしても市民から信頼され市長の職に就いていながら、思い付きのように職を投げ捨てる泉市長の良識には、辞めても当然と受け取られる空気もあったようだ。だが、市民からの信頼は抜群で、3年前にも暴言で辞職した直後の出直し選挙で圧勝した。そこには、地道で高い評価を受けた「子育て支援策」があったからである。それでも正規職員の削減や、市長・職員の給与カットなどを自分の思い通りに実施して、その財源を子育て支援に向ける経緯があったという。少々政策の実行過程にワンマン的な決断があった。市長を擁護する声も多いようで、「政策を実行し、世の中を変えてゆく市長と、口ばかりで何もせず、利権を守ることに熱心な議員のどちらが市民にとって有益なのか」との声もあり、挙句の果てにこんなツィッターもあったようだ。「暴言は論外としても、あの程度の発言で政治家引退なら、自民党の麻生さんや二階さんなんて100回ぐらい引退だよ」

 蚊帳の外の我々には何とも言えないが、もう少し話し合いが出来なかったのかとの印象が拭えない。

2022年10月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com