5591.2022年9月3日(土) 円安加速とK‐POP‘BTS’の兵役義務

 円安がまた加速して昨日1㌦=140円24銭になった。140円台にまで円安が進んだのは、1998年8月の147円43銭以来である。これで食品の原材料やエネルギー燃料の輸入に頼っている業界は、更に苦境に追い込まれることになる。

 いつもながらこの緊急とも言える事態にも拘らず、政府、日銀は事態の推移を見守るだけで、円安ストップへ向けた動きを一向に示そうとしない。実際食品など多くの原材料を輸入に頼っている日本では、それはそのまま物価高騰に直結する。円安の原因は、日米の金利差であることは分かっているが、これに対して鈴木俊一財務相は、「しっかり緊張感をもって、これからの為替の動向について注視していきたい」と4月と同じ発言をしている。5か月前は1㌦=126円だった。緊張感をもって注視している間に15円も円安が加速してしまったのだ。よく政治家が発言する「緊張感をもって」とか、「~注視したい」と言っているが、どうもその場凌ぎの言葉に思えて仕方がない。やる気があるのかないのか、或いはどうしたら良いのか分からないのだとしたら、岸田首相は鈴木財務相をさっさと替えて、行動する大臣を抜擢した方が円安相場にブレーキがかかるのではないかと思う。

 さて、お隣の韓国では、今K-POPの人気アイドル・グループ‘BTS’(防弾少年団)の徴兵問題が話題になっている。徴兵を猶予すべきであるとのファンの声がある一方で、韓国国民の義務である兵役を彼らだけ特別に免除するのは不公平だとの疑問も出ている。‘BTS’は韓国ばかりでなく、アメリカのヒット・チャートで1位であり続けた7人組のアイドル・グループ(24~29歳)で、グラミー賞の候補にも挙がっている。韓国の徴兵制度は、18~28歳の男子に20カ月間の兵役義務を課している。

 昨日韓国国防相が、国民の考えを知るためと世論調査の検討を指示した。しかし、一部の人の行動のために国が国費を投じて国民に考えを聞くという手法に疑問が出て、結局世論調査は取り止めとなった。かつて1960年代にボクシングの世界チャンピョンだったムハメッド・アリが、その絶頂期にベトナム戦争従軍の兵役義務を拒絶したことがあった。不幸にしてアリは、ボクシング界からすべてのタイトルを剥奪され、追放された。それは財産をすべて失った栄光のボクサーの悲劇だった。BTS徴兵問題は、果たしてどういう結末を迎えることになるのだろうか。決定の期限は、最年長のメンバーの兵役年齢がぎりぎりに迫る今年12月までである。

 軍隊が存在しない日本の若者にとって兵役は絵空事であるかも知れないが、仮に憲法改定によって日本が軍備を持つことが認められ自衛隊が軍隊となった場合には、若者に対して兵役が義務化されかねない。安易に憲法改定に賛成するならその覚悟も持たなければならないが、果たして保守傾向の現代の若者たちは、兵役に対してどう行動するだろうか。

2022年9月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com