今日は関東大震災が発生して99年になる。恒例により全国各地で避難訓練が行われた。最近大小の地震が各地で頻発しているので、また大きな地震が起きなければ好いがなぁというのが率直で切実な願いである。
実は、大災害が起きるとその犠牲者にはそれぞれ死因に特徴らしきものがある。関東大震災の犠牲者には焼死者が多かった。また阪神・淡路大震災では倒壊した建築物の下敷きによる圧死者、東日本大震災では津波による溺死者が多かった。関東大震災で焼死者が多かった原因は、日本海沿岸を北上する強風が関東地方に吹き込み、木造住宅が密集していた当時の東京の下町などで、火災が広範囲に発生した火災旋風という現象が起きたせいだそうだ。正午前ということもあって、食事の準備のためにお勝手で火を使っていた家庭が多かったことも火災が多かった原因である。強風や水道管の破裂もあり、火災は3日間も続いた。とにかく10万5千人もの犠牲者を生んだ近代日本史上における最大規模の被害をもたらした。
「天災は忘れた頃にやって来る」と言われるように、今日の「防災の日」を機に平素より身近に震災が襲来するのを想定して、心の準備をしておくことが大事である。
ところで今日は、暦の上で台風や豪雨の多い「二百十日」でもある。どうやら今年も南方方面に台風がやって来ている。台風11号が沖縄近海にいるが、かなり強風を伴い今後向きを変えて北上し本州に向かうようだ。中心の気圧も920hPa(ヘクトパスカル)というからかなり強烈だ。東京では今日は一部地域の驟雨を除き、降ったり止んだりだったが、台風が襲来しないことを願うばかりである。
さて、各省庁から2023年度国家予算の概算要求が出そろった。これは敢えて言えば、第1次要求額とも言えるもので、年末に出される年度予算の予備のようなものだ。しかし、要求総額がすでに110兆円を超過している総額に、今年もまたかとの懸念が消えない。最も多くの予算を求めているのは、例年通り高齢化による社会保障費が自然増の厚生労働省である。実に33.2兆円の要求で今年度予算に比べても1.9%の増加である。しかし、こればかりは国民の生活及び健康に直接関係ある支出であり、止むを得ない点もある。
その一方、近年最も不自然に要求額が増大しているのが防衛省である。その金額たるや過去最高の約5兆6千億円である。すでに、防衛予算は文教・科学振興や、公共事業予算とほぼ同額の水準に達している。
今回の概算要求の特徴は、金額を示さずに「事項要求」というへんてこな仮の要求があることである。特に防衛省は、岸田首相が防衛費を国内総生産(GDP)の約1%から2%以上を念頭に置いているとの発言を受けて、増額要求のお墨付きをもらったかのように、5年内に更なる増額を期待しているようだ。
しかし、ガソリン価格や食料品の値上げをはじめ、円安も加わり、物価の高騰が止まらない現状である。先月かなり多くの一般消費者物価が値上げされ、家庭の主婦も家計のやりくりに頭を痛めているようだ。今月も多くの品目の値上げが懸念されている。防衛省のトップは、増額予算分捕りを当然のように受け止めているようだが、予算担当官は、これらの庶民の家庭の悩みを真摯に考えたことがあるのだろうか。