来月行われる安倍元首相の国葬に当たり、自民党は弔問外交で各国の首脳とのトップ会談を考えているようだが、今のところG7首脳をはじめ、欧米各国の首脳にも訪日はあまり期待出来ない。G7で首脳の派遣を検討しているのは、現状ではカナダのみのようだ。当初フランスのマクロン大統領が出席を表明したようだが、ウクライナ戦線が緊迫している中でロシアのプーチン大統領と話し合いの窓口があるマクロン氏が、来日するとは予想外であったが、案の定外交上の理由で別人が参加するようになった。
そもそも日本政府は、各国との弔問外交を期待しているようだが、噂によると過去において日本はきちんと弔問外交をやって来なかった。外国のリーダー・クラスの葬儀に首相が出席したことはなく、外国からはその辺りを見抜かれているようだ。例えば、2005年ローマ法王葬儀の際には、欧米の大統領らが列席したにも拘わらず、日本は遥かに格下の首相補佐官を派遣したほどである。19年フランスのシラク元大統領の国葬には、駐仏大使が代理として列席した。去る5月のアラブ首長国連邦のハリファ元大統領が亡くなった際には、弔問式に首相特使として甘利明・自民党前幹事長を派遣した。どうも日本政府は弔問外交の何たるかを知らず、適当に判断して対応がちぐはぐになった印象を受ける。
国内では国葬について日に日に反対の声が高まっている時に、小池晃・共産党書記局長が出席しないと公言した。他に国葬反対の政党議員は、どういう対応をするのだろうか。
そのように国葬反対の声が大きくなる中で、安倍元首相の出身地・山口県では10月15日に別途に県民葬を行うことを決めた。これには一部の市民の間から反発の声が上がっている。過去に自治体では、首相経験者や功績があった知事らに対して県民葬を行うケースはしばしばあった。だが、これに投入される自治体の支出はバカにならない。山口県で県民葬を行ったのは過去に5例しかない。安倍氏のケースは6度目になる。その過去5つの県民葬の内、安倍元首相の親族に、父の安倍晋太郎元外相、祖父の岸信介元首相、叔父の佐藤栄作元首相の大物政治家3人がいる。首相経験者で県民葬を行わなかったのは、島根県出身の竹下登氏だけだが、その理由は遺族が辞退したからだと言われている。安倍家からは、一切そのような声が聞かれないようだ。
さて、昨日日経平均株価が大幅に下落した。一時は850円を超える値下がりだったが、終値で前週最終株価に比べて762円の値下がりとなり、2万8千円を割り込むことになった。これはアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)パウエル議長が、金融引き締めを続ける姿勢を示したことに各国金融筋が過敏に反応し、前週にアメリカ市場が急落し、各国の市場に波及したからである。そのせいで、円安ドル高が一層進み、円相場は一時1㌦=139円近くまで下落した。これが止まらないと日本の経済も大きな打撃を受ける。
幸い今日の日経平均株価は、大きく反発して昨日の終値を316円上回る28,195円で2万8千円台を回復した。円の相場は、ほんの若干戻して1㌦=138円49~50銭で前日に比べて20銭の円高となった。だが、こんな程度では、とても安心していられない。