5478.2022年8月20日(土) 日本人に沁み込んでいる「集団腐敗体質」

 このところ連日あれこれ報道されているのが、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)、及び旧統一教会と関係のある国会議員である。先日共同通信が全衆参国会議員にアンケート調査した結果、旧統一教会関連団体のイベントに出席したり、選挙協力を受けた議員が、実に106人もいることが分った。中でもこの数日注目されているのは、萩生田光一・自民党政調会長である。萩生田氏自身都内八王子市出身で、市議会議員当時から旧統一教会八王子家庭教会に顔を出していながら具体的な関係を語らず、明確に説明をしないことから旧統一教会と深い関係があると見られている

 岸田首相は、去る9日長崎原爆慰霊追悼式典に出席の折、「政治家としての責任において旧統一教会との関係を点検し、厳正に見直すよう指示した。そうすることが新閣僚や党役員などにおいても前提となる」と語ったが、その後の役員人事を見ると、そうだろうかと疑念が湧いてくる。どうして岸田首相は、そこまで言っておきながら人事で疑いのある議員を重要ポストに登用したのか首を傾げざるを得ない。

 そこには、日本人特有の「集団腐敗体質」があり、ある程度の集団になると日本人に沁み込んでいる腐敗が現れることのようだ。実は、「選択」8月号巻頭に新谷尚紀・国立歴史民俗博物館名誉教授へのインタビューが掲載されている。日本人の体質について新谷教授は次のように分析している。日本人が誕生したころは、個人で狩りを行う狩猟民族と異なり、農耕民族として集団で稲作を行ったことから、集団で稲作をやれば収穫後に楽しいことが待っていると知っていた。総合的な経営、集団的な行動が第一であると身体で知ったのである。集団の中で生きてきたために、日本人には個人としての危機感がなく誰も責任を取らない。太平洋戦争で負けても一億総懺悔と誤魔化し、原爆慰霊碑にも「過ちは繰り返しません」と書いてあるが、誰の過ちなのか分からない。組織の中の役割分担でやっていたのだからと誰が悪いのかを特定しない。世の中で責任を追及しないし、させない社会システムが完成しているという。過去に他人の責任を追及する人間がいたら、むしろ彼をいろいろなレッテルを貼って社会から排除してきた。これは、一般社会でも企業の不祥事などでも原因を明らかにしない傾向がある。

 翻って今日の政治家の行動を見てみれば、明らかである。先日殺害された安倍元首相は、森友学園、加計学園問題で国家資産を利己的に処理し、国家に損害を与え、その関連から近畿財務局職員を自死に追い込んだ。かくまでして一向に反省の色がなく、疚しいことがあれば国会議員を辞めるとまで公言した。更に「桜を見る会」の公私混同と公職選挙法違反、所得税法違反など、数々の問題行動を起こしている。それでも国会議員を辞める気はない。それでも亡くなるまで政界で大きな力を揮っていた。当時総理大臣だった人物の犯した罪に、周囲は何も逆らうこともなく、厳しい非難を浴びせることもなかった。上に立つ人間に追従する人ばかり増え、日本人集団は付和雷同的な民族だと言える。

 新谷教授は、自立心も自覚もない日本人は、選挙をやっても無自覚な投票者ばかりで意味がないと語っている。選挙が機能していないとまで述べている。100%その通りとは言ないが、かなり教授の言うことは理解出来る。ただ、これでは今の日本で生きていくには、何に希望を抱いて生きていくのか、少々先が暗くなる。せめて自立心と自覚を持ち、ことに当たっては是々非々をはっきりさせることが大事だと思う。

2022年8月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com