5429.2022年7月2日(土) ロシアの詐欺師的資産強奪テクニック

 昨日ロシアから入って来た衝撃的ニュースに、まさか!と、やっぱり!と一瞬当惑した。一昨日プーチン大統領が、日本がサハリン州に投資している液化天然ガス(LNG)・石油開発事業「サハリン2」の運営を、ロシアが新たに設立するロシア企業に譲渡するよう命令する大統領令に署名したと報道されたのである。ロシア・サハリンにおける同事業への開発、投資計画に当時の安倍首相は、日本が協力、投資することを約束し、今日サハリンの液化天然ガス(LNG)を日本は手に入れることが出来ており、日本経済としては大いに助かっているところだ。

 ところが、驚いたのは4か月前のロシア軍による唐突なウクライナ侵攻で、その残虐さが国際社会から反発を買い、アメリカ、NATO加盟国をはじめ各国がロシアに対して経済的制裁を課した。日本もこれに同調した結果、ロシアから非友好国と指定されてしまった。ロシアとしては日本に対して敵討ちを狙っていた。従ってこれは明らかにロシアの日本に対する意趣返しである。

 「サハリン2」プロジェクトでは、日本企業として三井物産が12.5%、三菱商事が10%を出資している。ロシア政府が設立するロシア企業が、この出資額に当たる権利と義務、従業員などを無償で引き継ぐことになるが、その出資額に当たる新会社の資産を日本企業が平易に取得出来るだろうか、気にかかる。問題は、ロシア側の条件に同意したにせよ1か月以内に取得を申請し、承認を受けることが必要である。仮に株式を取得しなかった場合は、売却資金をロシア国内の口座に凍結され減額される可能性もある。「サハリン1」ではサハリン石油ガス開発社が30%の株式を所有しているが、その内訳は経産省をはじめ他に日本の民間企業が出資している。これもどうなるか不透明である。

 いずれにせよロシア政府のやり方は、ロシア国内で起きたトラブルでも自らは責任を負うことなく、他人の財産を強奪するようなもので、今日の開発が実現した過程の経済的な支援、強力などに対して感謝の気持ちが全く見られないことである。

 ロシアは、第2次大戦の終結とともに武器を放棄した日本に対して、土足で当時日本領だった樺太(サハリン)へ乗り込む、日本人からすべての財産を奪った。その後も同じように北方四島に対して終戦後になってから日本から奪い取った過去の行為を思うと、このロシアという国との国交は、常識的な外交ではなく、よほど別の視点からアプローチして取り組む必要があると思う。

 今からちょうど30年前の1992年10月に雪がぱらつきだしたサハリンを訪れ、国の社会インフラが充分整備されていない状態を見て、国土が広大な国ゆえに全土のインフラ整備を自力でこなすことは、厳しいことだと感じた。チャンスにさえ恵まれれば、外国の施設を横取りする気持ちがあるのだろう。安倍元首相は、プーチンの口車に乗せられて、無償で石油開発施設をロシアに寄贈してしまうことになりかねない。

2022年7月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com