5428.2022年7月1日(金) 香港返還25周年、偽りの「1国2制度」

 今日で香港がイギリスから中国へ返還されてから四半世紀になる。「1国2制度」を50年間守ると中国は、宗主国だったイギリス政府に固く約束しながら、徐々に香港行政府に圧力をかけ、一昨年香港政庁に対して国家安全維持法なる法律を実施させることによって、香港の首根っこを抑え込んでしまい、香港政庁のすべての人事権を北京の共産党政権が取り仕切り、立法府議員も共産党が承認しない人物は、立候補出来ないルールにして自由と民主化を有名無実化してしまった。「1国2制度」は道半ばで途絶えてしまった。今や香港にはかつての自由と民主主義は失われてしまった。

 中国共産党に批判的なメディアは廃刊に追い込まれ、「国境なき記者団」が今年発表した「世界の報道の自由度ランキング」では、香港は前年の80位から148位に急落したほどである。香港には「言論の自由」と「報道の自由」もなくなってしまった。

 今日中国本土から香港へ出かけて記念式典に出席した習近平・国家主席は、「『1国2制度』の実践は、世界が認める成功を収めた」と自画自賛し、中国共産党の指導に基づく愛国者の統治の正しさと自身の実績を強調したが、国民を騙すのも好い加減にして素直に間違いを世界に向け告白すべきである。更に習主席は、中国は一切の干渉を排除し、発展に取り組み反政府的な活動や外国勢力の干渉は許さないとまで強弁した。

 現実をよく見て見れば分ることだが、中国は香港返還に当たり宗主国だったイギリスと50年間守ると約束した国家間の協定「1国2制度」をその半ばにも満たない23年間で一方的に反故にしてしまった。誰が見ても現状は、「1国2制度」とは言い難い「1国1(非民主化)制度」であることは明白である。

 昨日閉幕した北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議では、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに防衛力を高めることが主たる議題となったが、同時に軍事同盟であるNATOがアジア方面へも手を伸ばす歴史的な転換点ともなった。それは、中国の野心と威圧的な政策に対する警戒感から、首脳会議に初めて岸田首相をはじめ日韓豪ニュージーランドの首脳を招待し、インド太平洋地域のパートナーと協力をしてともに安全保障の問題に取り組んでいくことを表明したのである。

 この動きに対して、直ちに中国は、「世界で面倒を起こしているのはNATO自身で、ヨーロッパで引き起こしたグループ対立をアジア太平洋にも持ち込もうとしている。我々の利益を侵害するような振る舞いには、断固として強力な反撃を加える」と反応した。同時に在日中国大使館も「日本はアメリカなど西側諸国に追従し、中国を抑え込もうとするたくらみに積極的に加担している」と日本を非難した。

 ロシアのウクライナ侵攻で中国がロシアの行動に理解を示して、欧米の立場とは対立する立場を取って以来、日本は同盟国アメリカやNATO諸国に与する立場を支持したことから、中国と日本が益々乖離するようになってしまった。

 初めて中国を訪れた1970年代初め頃に比べて、中国は経済的に大きく発展したが、彼らの考え方も大きく変わり、我々日本人とは大きな溝が出来てしまった。日中が国交回復して今年が半世紀50年になり、中国共産党が創立されてからちょうど1世紀100年になるが、いつまでもこのままの状態が続いて良いわけがない。このままの状態では、日中両国の対立は深まるばかりである。

2022年7月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com