5403.2022年6月6日(月) アメリカでまた銃乱射事件発生

 昨日北朝鮮が日本海へ向けて弾道ミサイル8発を連続発射したところ、今日米韓合同演習軍がお返しとばかり地対地ミサイル8発を同じ海域へ発射した。「常時監視態勢を維持し、発射地点を直ちに精密打撃出来る能力を具えていることを示した」と説明した。併せて、「北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイルによる挑発を強く糾弾し、朝鮮半島の軍事的緊張を高める行為を直ちに中断するよう厳重に促す」と付け加えた。今のうちは、お互いに傷つかない探り合いのような報復合戦であるが、ひとたび判断を誤ったら新たな戦争への一歩となる危険をはらんでいる。ウクライナ戦争が一向に収束の兆しを見せない中で、戦地から遠く離れた極東の海域で事態が暴発するのを憂慮するばかりである。

 そんな時に一般国民の銃乱射事件が頻発しているアメリカで、またまた銃撃による殺人事件が連続して起きた。いつも事件が起きるたびにどうして民主国家を自認するアメリカで、このような暴力事件が度々発生するのか、またなぜ原因が分っているのにそれを防止することが出来ないのか、疑問であり、不思議でさえある。

 先月だけでもアメリカでは銃撃殺人事件が3件も起きている。ニューヨークのスーパーで黒人を狙った乱射事件が起き、黒人10人が死亡した。テキサス州の小学校では生徒ら21人が殺害され、オクラホマ州では医療施設で5人が死亡した。流石にバイデン大統領もこれにはショックを隠し切れず、去る2日にホワイトハウスで銃規制強化の必要性を訴えた。

 アメリカでは今年1月から5月までの5か月間で、発砲事件は231件も発生し、銃による死亡者は実に8,031人、負傷者は15,119人に上るという。とても現実の話とは思えない。人口より所持する銃の数の方が遥かに多いという危険な数字もある。それでも多少の救いは、ある世論調査によると、銃規制を強化すべきであるとの声がアメリカ人全体で53%もあり、本気で対応するなら、銃は規制され、所持数も減少する筈である。それにも拘わらず、世界でも唯一と言ってもいいほど市民が所定の手続きさえ済ませば銃の所有が許される国は、アメリカ合衆国以外には見られず、アメリカ独特の西部開拓時代の歴史と現行憲法がそれを容認していることが、銃規制へのハードルとなっている。

 銃規制が困難なのは、合衆国憲法第2条に記された建国の理念にあるとされている。規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要と規定して武器を所有する権利を認めているのである。そしてややこしいのは、「民兵」は政府の圧政に対する存在で、政府が暴力を独占してしまえば、その暴力が国民に対して向けられる可能性があり、国民が自衛する必要があるというおかしな論理が、銃規制に反対する底流にあることである。

 もうひとつ、アメリカ人の発想の根底には、都市部と農村部に大きな差があるという問題がある。都市部では近くの警察がすぐ対応できるが、農村部では隣家が離れて警察を頼りに出来ず、西部開拓時代さながらに自衛せざるを得ないという考え方を無視出来ないという。

 バイデン大統領は、不充分ながらもひとつの提案を示した。銃規制の一歩として、銃所有年齢を現在の18歳以上から、21歳以上へ引き上げることである。この程度の改革ではとても大した効果は期待出来ないと思うが、取り敢えず小さな改革でもまずはやってみることである。問題は、これとて全米ライフル協会や、トランプ前大統領ら保守的な共和党勢らが反対するだろう。まずは小さな一歩からスタートしてみてはどうか。さもなければ、アメリカは核所有による自滅より、銃社会の暴力王国となって滅びることだろう。

2022年6月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com