5401.2022年6月4日(土) 天安門事件から33年

 33年前の1989年の今日、北京の天安門広場で民主化を求める学生、若者の抗議デモに対して軍隊が武力を行使して弾圧を行い多数の死傷者を出した「天安門事件」が発生した。いつもながら中国政府は治安を守るためとのきれいごとばかり述べて、弾圧を行い今以て事件の詳細を詳らかにしない。今日もデモ騒ぎを警戒した当局は天安門広場で厳しい警戒をしていた。習近平国家主席が自らの3期目政権発足を視野に今秋の共産党大会を控えて、民主化を求め反政府デモによる抗議活動の発生を防ぐために、北京市中央部に多数の警察官を配置し厳重な警戒態勢を敷いた。

 中国共産党の公式発表では、天安門事件で319名が死亡したことになっているが、その信憑性は怪しいものだ。一部には死者の数は、数百名から数万人に及ぶとまで言われて共産党の数字は信用されていない。1999年に公表されたアメリカの外交文書では、天安門広場で1万人が死亡したと記されているし、イギリス政府の公文書には、最低でも一般市民の死者は1万人以上が中国軍により殺害されたと報告されている。遺族は中国政府に対して対話を求めていながら政府から何の反応もないと批判しているが、政府は遺族の訴えへの対応について、これまで通りとっくに結論を出していると遺族を突き放している。昨日も共同記者会見の場で、報道官はNHK記者が批判のある現状をどう考えているのかとの質問に対して、かなり長考の末、質問をはぐらかして、次の質問に移ってしまった。これではいつまで経っても中国国民の不審感は沈潜し消えないだろう。

 先月28日に、中国政府に対して少数民族への弾圧が民主化抑圧との非難がある中で、バチェレ国連人権高等弁務官が新疆ウィグル自治区を視察したが、中国政府が自治区内の行動を制約したことから視察には限界があったと言われている。新疆ではイスラム教徒を中心とするウィグル人ら少数民族百万人以上が、収容所や刑務所に収容されていたが、これに対しても中国政府は、施設を職業訓練所として使い強制収容の事実はないと説明した。

 中国の人権抑圧、規制強化などに対して各国から不満が燻っている折だが、アメリカのブリンケン国務長官は、一昨日新疆ウィグル自治区の状況をめぐり「中国がジェノサイド(集団殺害)や弾圧を続けている」と改めて非難した。いくら中国政府が言い逃れをしようとも、すぐ新たな中国への批判的材料が聞こえてくる。

 さて、60年前単身アメリカへ向け無寄港で太平洋をヨット「マーメイド号」で横断した、あの海洋冒険家の堀江謙一さんが、今度はサンフランシスコから太平洋を横断して無寄港で今朝3時前にゴールの和歌山に帰って来た。航行距離は実に8,500㎞、69日間をかけた長旅だった。今回は前回1962年の時とは逆コースを辿ったが、前回は私がまだ大学生時代だったが、私にはとても真似の出来るような冒険ではなかった。その勇気と行動力に心を打たれ、心から羨ましく感じたことを覚えている。前回日本からサンフランシスコへ向かった時は、旅券もビザもなく所謂密出入国だったが、その勇気に心を打たれたアメリカ人から歓待され、それが日本で法的な処分を回避されることになった一因となった。その行動をお祝いし、心よりお疲れさまと申し上げたい。

2022年6月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com