コロナ禍の影響を受けて一部の産業を除いて、どの企業も経営に四苦八苦している。中でも人の移動が減少したこともあり、観光・交通業の落ち込みが最も激しい。その中で旅行には欠かせない交通業の経営不振が著しい。特に、航空業、鉄道業が大きな打撃を受けている。
昨日航空大手2社とJR主要3社の2022年度3月期決算が発表された。日本航空が1,775億円の赤字を計上し、全日空も1,436億円の赤字だった。両社は特に国際線がコロナ前に比べて収益が約9割も落ち込んだ影響が大きい。コロナの勢いも少し下火になってきたので、このGWでも国際線はハワイを主にかなり回復したようだ。幸い政府の自粛要請が終わり、入国制限も緩和に向かっており、今年度は過去2年間のような惨めな決算にはならないと考えられる。
一方、JR3社では、JR西日本の1,131億円、次いでJR東日本949億円、JR東海519億円の赤字が計上されている。航空会社は、コロナ禍以前の状態に客足が戻れば、再び順調な経営を続けられると思われるが、JR各社の場合は、他に難しい問題を孕んでいる。その最たるものは、特にJR西日本が抱えている不採算赤字路線による年々重なる赤字額である。鉄道会社の場合は、赤字路線だから直ぐ廃線というわけには行かない。地元自治体や地域住民の生活が脅かされると強い反発があるからである。しかし、あまりにも採算路線への回復が難しい路線については、国土交通省が仲介して検討会を始めようとしている。
例えば、JR西日本の赤字ローカル線の中でも、木次線の出雲横田~備後落合間29.6㎞は、1日に1㎞当たり僅か18人しか乗客がおらず、100円稼ぐために26,906円も支出することになるという。この赤字路線をJR西日本一社だけが負担するのは、あまりにも厳しく、地元の苦悩は理解出来るが、多少の不便を我慢して、赤字を大幅に削減出来るバスへ切り替えることを考える必要があるのではないか。これらの赤字路線は、何度か乗車したことがあり、車窓から北アルプスの山々を眺められるJR東海の大糸線を除いて、殆どがJR西日本加古川線、姫新線、芸備線などのローカル線であるが、大都市圏でも同じような問題を抱えている地域がある。普段は経営安泰で気づかなくても、一旦ことが生じると経営が逆転することもあり得ることを普段から肝に銘じておくべきだと思う。
さて、一向に戦闘が収まりそうもないウクライナ情勢でマリウポリの製鉄所地下のシェルターに避難している民間人を何とか人道回廊で避難させようとの試みが中々予定通り進まない。ロシア、ウクライナ両軍も互いにミサイル弾を発射させるようになり、戦線はエスカレートの傾向が見える。そんな時に、ロシアの黒海艦隊のフリゲート艦「アドミラル・マカロフ」が、ウクライナ軍の対艦ミサイルによって攻撃を受け、爆発したと報道された。圧倒的な軍事力でウクライナをすぐにも降伏させると自他ともに見られていたロシアが一進一退でウクライナの善戦が目立っている。これも欧米諸国らの兵器などの支援物資の援助があるからである。それにしても何とか1日も早く、停戦、或いは休戦へ持ち込むことは出来ないものだろうか。