5363.2022年4月27日(水) ウクライナ戦争の分かり難い心理面

 一昨日と昨日、ウクライナ政府の納得し難い公式コメントについて本ブログに取り上げた。そのひとつに、支援した国のリストに、なぜか日本の名が載っていなかったことが報道されたことである。SNS上には「悲しかった」とか、「感謝されることを期待しての善意ではないが、テンションが下がった」と日本国内には失望の声が上っている。

 過去にも湾岸戦争で、日本は資金援助を行いながら、憲法上の制約により自衛隊派遣のような人的貢献を行わなかったことから、国際的な評価は得られなかった。だが、この時はドイツも軍隊を派遣しておらず、更に日本より少ない拠出金だけの支援にも拘わらず、ドイツは評価されていた理不尽な前例がある。

 しかし、今回はアメリカをはじめ、どこの国も軍隊を派遣していない。日本があまり評価されない最大の原因は、ウクライナがロシアへ反撃するために必要とされる銃砲、弾薬、ミサイルなどの直接的な武器を提供しなかったからだと見られている。その点で日本は3億㌦、防弾チョッキやヘルメット、食料品、そして避難民の受け入れを行ったが、それ以上の支援を提供しなかったことが、感謝の意思表示として示されなかったということであろうか。どうも他に原因があるように思えてならない。

 これについて、林芳正外相は「ウクライナ側から軍の関係者が軍事支援の文脈において謝意を示したもの」と本人が納得したのか主旨がよく分からないコメントを述べていたが、どれほどの戦略的武器支援を行ったのかエチオピアやアルバニアの名も挙がっており、日本国民としてはあまり納得出来る説明ではない。折も折、ウクライナへの軍事支援を議論する国際会議が初めてドイツで開かれ、アメリカ、NATO加盟国をはじめ、約40カ国が参加し、日本からも岸防衛相がオンラインで参加した。外務省はもう少しウクライナ政府と緊密にコミュニケーションを図り、日本の支援について理解してもらえるよう努めるべきであろう。張り合いがないことは事実である。ある面で外務省の怠慢とも思える事象である。

 依然としてウクライナ戦線が過激化している折に、国連のグテーレス事務総長がモスクワを訪問し、昨日ラブロフ外相と会談した。この会談で事務総長はロシアのウクライナ侵攻は国連憲章違反だと強調して、ロシア軍の包囲により人道状況が悪化しているマリウポリなどで市民の安全な避難と支援のための人道回廊が必要だと訴えた。これに対してラブロフ外相は、ロシアの目的は民間人の保護であり、市民の苦痛を和らげるための追加的な対策で国連と協力するなどと述べて、ゼレンスキー大統領が提案を拒否して関心がないようだと事態の好転が期待出来ないとの台詞を述べている。

 事務総長は今日プーチン大統領とも会談したが、冒頭からプーチン氏が10分間も持論を主張しロシアの正当性を述べ続けた。事務総長が侵略行為と虐殺を止めるよう主張したのに対しても反論し、結論として2人の間に合意は得られなかった。事務総長としては何とか停戦への道筋をつけたかったが、プーチン氏がウクライナが吞めない条件に拘って、グテーレス氏の努力も実らなかった。

 相変わらずだなと苦笑したのは、お互いの席を大きく離して両端で話し合っていた光景で、以前にショルグ国防相、フランスのマクロン大統領との会談でも同じように観られた嫌らしいシーンだった。偶々今夕の朝日「素粒子」欄に、興味本位に「やはり会談は長―い机で、国連事務総長とプーチン氏の距離が停戦の難しさを映す」と書かれていた。

2022年4月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com