5332.2022年3月27日(日) エジプトの首都カイロが移転

 桜も満開となり今日は絶好のお花見日和で、昼前に妻と近くの呑川沿道の桜並木を通りながらじっくり日本の春をエンジョイした。

 さて、今年7月からエジプトの首都カイロが首都機能をナイルの川向うのナイル・デルタ砂漠地帯の新都市に徐々に移されるとは、びっくり仰天である。インドネシアの首都ジャカルタが、ヌサンタラというカリマンタン島の密林の中に移転することは承知していたが、それとて20年以上も先の2045年の話である。エジプトの新首都名は、まだ決まっていないようだが、いかに人口過密でカイロが首都として機能しなくなったとは言え、古代エジプト王朝の偉大な歴史と伝統を誇り、世界的に世界遺産の宝庫でもあり、東京より遥かに多くの人口2千百万人を抱える首都が、カイロから東45㎞の砂漠の真っ只中に人口650万人の新都市となって生まれ変わるとは、奇想天外と言っても好い。

 これまで何度かカイロを訪れたことがあるが、下町にも古都らしい雰囲気が窺え、ナイル河畔のヒルトン・ホテルの窓から遥かにピラミッドが望める絶好のロケーションだ。どうしてあんな魅力的な古都をもっとうまく活用出来ないものだろうか。実に勿体ないと思う。財政的にも厳しいエジプトが、そんな大プロジェクトを実現出来るのか疑問であるが、すでに都市としての輪郭は出来上がって、エンパイア・ステート・ビル(381m)より高く、アフリカ随一の385mの高さを誇る超高層ビルを中心に20棟の高層ビル街が完成しているようだ。それらは、当面エジプト政府の財政負担はなく、砂漠の土地売却とほとんどが中国国有企業の一括受注と民間企業の投資、及び支出によって賄われる。エチオピアの高速鉄道をはじめとして、中国の開発援助によりアフリカは赤い中国カラーで塗り尽くされている。

 折も折、ロシアのウクライナ侵攻に関して国際的にロシア非難の声が強くなっているが、去る24日国連総会でウクライナの人道危機について、「ロシアの敵対行為の結果」と明記した決議案が140カ国の支持を得て採択された。だが、その直後に南アフリカが国際社会はロシア非難で一致しているわけではないとする決議案を提案した。これにはウクライナ国連大使が激怒したようだ。南アがロシア寄りの対応を取るのは、反アパルトヘイト闘争で旧ソ連から支援を受けたことが影響しているようだ。ロシアを非難しないアフリカ諸国が多いのは、南アばかりでなく、国連加盟のアフリカ54カ国の内、採択された決議に20か国が棄権したことでも分かる。ロシアと中国を非難しない国を挙げたら、アフリカ諸国の内過半数が手を上げるだろう。

 似たような事例がある。一昨日国連安保理事会で、大陸弾道弾(ICBM)「火星17」を発射した北朝鮮への追加制裁について、ロシアと中国が反対を表明した。彼らはむしろ制裁緩和に言及したほどである。ロシアと中国の言い分がふざけている。ロシアは、「制裁の強化は、北朝鮮市民を社会経済的、人道的なリスクにさらすことになる」と言い、中国は「一方的に制裁を強調するより現実的な行動を取るべき」とモラルの基点を都合の良いようにシフトしながら主張して、まるで論理の正当性が感じられない。それならウクライナに対してはどうなんだと反問したい。日本政府もウクライナ問題が一段落してから、今後ロシアと中国との外交には、よほど褌を締め直して取りかからないと足元を掬われる恐れがある。

2022年3月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com