5320.2022年3月15日(火) 中国の無節操なロシア支援

 ウクライナでは、今日もロシア軍による攻撃が行われている。世界中からロシアに対する強い非難と反対の声が上がり、ロシア国内からも少しずつ反戦の動きが見られるようになった。中でも昨夜のロシア国営テレビ「第1チャンネル」では、ニュース番組の生放送中に1人の女子職員が「戦争反対」のプラカードを掲げて現われ、しばらくその映像が流れた。更に発言しようとした矢先に、場面は別の映像に変った。ゴールデン・アワー帯の放送で、数百万人が視聴するニュース番組だけにその影響は大きいことだろう。つい先日国内で報道規制が行われ、この女性のように規制主旨に反した場合は、重罰が科せられる。それでも我慢しきれなくなった良識的なロシア人の中には、プーチンのやり方に反旗を翻す市民が現れている。いずれ波紋が更に広がっていくことは間違いない。

 今朝の朝日新聞には、一般市民による反ロシアの言動が大きく取り上げられている。中でもロシアの反体制派女性知識人が匿名で書いた手記が大きく掲載された。「プーチンは、ロシアをも殺したのです」の一節は体制派にとっては我慢ならないほど刺激的だろう。この女性は、「多くの人たちが戦争を支持し、プーチンを支持している。これも怪物じみたプロパガンダの犠牲者だ」と断じている。同時に、若手を中心に多くの研究者が国外に脱出したが、国内に残り反戦の立場を貫いている研究者や、文化人に対する圧力は日ごとに強まり、自由な発言は封じられ、事実上の「人質」になっていると言い、最後に、ゴルバチョフとエルツィンが築いたロシアの終わりを意味すると嘆いている。

 ここへ来て、ロシアの同盟国である中国が漸く本性を現し始めた。ロシアを非難する各国の声に同意するでもなく、ロシアの立場を理解するような煮え切らない態度を示していた中国が、アメリカへの対抗上、昨日米中高官協議で兵器供与することによってロシアを支援する意向を伝えたようである。ロシアは開戦後中国に対して軍事支援を求めたとされているが、中国は漸くロシア支援へ前向きな姿勢を示したとアメリカのメディアが報じた。この報道に対してホワイトハウスのサキ報道官は、「中国が制裁違反したり、戦争支援すれば、重大な結果がもたらされるだろう」と対抗措置を匂わせて中国を強くけん制した。

 中国は、相手国を名指しでずけずけ批判するが、自国を不利に追い込むような判断を求められるようなケースでは、当事者の立場から一歩身を退く狡さがある。中国にとってウクライナは大きな貿易相手国でもある。中国最大の空母「遼寧」もウクライナで製造されたものである。ウクライナとの交渉が拗れれば、国家としての損害も大きい。況してや8年前に習近平・国家主席は、「ウクライナが核攻撃を受けた場合には、中国が守る」と約束している。この約束に忠実であるなら、ロシアを支援するよりウクライナを支援すべきではないだろうか。中国は、この約束を反故にしようというのだろうか。これだから中国を信頼する国がどんどん少なくなって行くのが、分からないのだろうか。これこそ中国らしいと言えば、中国らしい。

2022年3月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com