5403.2022年2月26日(土) 二・二六事件記念日に「ロシア軍、首都に迫る」

 今日も朝からメディアでは、ロシアのウクライナ侵攻の報道に明け暮れている。表題の括弧内文字は、朝日朝刊のトップ記事を引用したものだが、いよいよ市街戦が始まることを予感させる。

 今日は選りによって86年前の昭和11年にクーデター未遂事件「二・二六事件」が起きた日である。青年将校による首相官邸への襲撃で、高橋是清蔵相、斎藤実内相らが殺害されたが、青年将校らは天皇から反逆者と突き放されて降伏した。しかし、この事件を契機に軍部が力を増し、日本は軍国時代へ突き進み、遂には太平洋戦争へ突入して行った。残念ながら近年この二・二六事件について報道や解説をされることがほとんどなくなり、今日もメディアがこの事件を報道しているのをまったく見ることはなかった。日本史上のエポック・メーキングなこの衝撃的な事実が忘れられていくのではないかと心配している。過去を反省し、2度と戦争しないと再確認するためにもこうした日本史上重大な事件については、もっと啓蒙すべきではないかと考える。

 今回ロシアが2つのウクライナ東部地域を独立国として一方的に承認したり、抵抗しないウクライナ軍の軍事施設を破壊しつつ、その一方でウクライナ軍兵士らにクーデターを唆し、ロシア政府の意のままにならないゼレンスキー現政権を打倒し、ロシア寄りの傀儡政権を樹立することがロシアの大きな狙いである。この国際法を無視した一連のロシアの行動に対して、国連安保理事会、15カ国中11カ国がロシアを非難したが、中国、インド、アラブ首長国連邦が非難決議を棄権した。ロシアは拒否権を行使した。だが、この拒否権の行使について80カ国がロシアの拒否権行使は、権利の乱用に当たるとする共同声明を出した。反米感情が強く、台湾、香港問題など似たような国内事情を抱える中国がロシアに理解を示すのは、納得出来ないが何となく分かる。だが、対中戦略を念頭に設けられた日米豪印からなるクアッドの当事国であるインドが、ロシア非難に棄権したのは理解に苦しむ。

 アメリカの対応も腰砕けである。ロシアが「核」の使用を匂わせるような発言をしたことに怯えて、口頭でロシアを非難しつつ経済制裁を課すとしているが、それはあくまで限定的な効果しか生まないのではないか。ロシアに厳しい制裁を課すことが、アメリカ国内で原油の値上がりをもたらす懸念や、国内経済の停滞を警戒して、思い切ってウクライナへ支援の手を差し伸べようとしないことである。北大西洋条約機構(NATO)に加盟しようとしているウクライナの急場に、他のNATO加盟国もロシア軍の侵攻以降、見て見ぬふりをするばかりで何ら支援しているようには見えないことである。仮に日本がロシアや中国から攻撃を受けた場合、日米同盟という絆はあるが、果たしてアメリカは日本に頼りとなる支援をしてくれるだろうかとの懸念がある。

 気がかりなのは、各国がすべて自国本位に行動して、例え相互援助協定を締結していたにせよ、敢えて危険を冒してまでも同盟国の支援にまで手を差し伸べようとしないことである。ウクライナのゼレンスキー大統領は、冷酷非情な現実を思い知らされたのではないだろうか。

 人間社会の不誠実さと国家がらみの無情というものを悟らされたような気がする。

2022年2月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com