5398.2022年2月21日(月) これからのオリンピックの在り方

 北京冬季オリンピックが幕を降ろし、慌ただしい雰囲気が消えたような気がする。中国メディアは、北京オリンピックは大成功と自画自賛している。確かに表面的には新型コロナウィルス禍の中で運営もしっかりして、開会式、閉会式のデモンストレーションも中々見事な演出だったと思う。

 しかし、いくつか表れた問題は、これからじっくり検討する必要があると思う。一部には、オリンピックのモットーである「平和の祭典」の限界が露呈したとの指摘がなされている。環境への影響が懸念される人工雪の会場は「選手第一」からは程遠いと指摘されている。実際人工雪が固くて練習中にケガをして本番に出場出来なくなった選手が、日本人選手を含めて複数いる。各国メディアの論評には厳しい指摘が多い。やはり事前に新疆ウィグル自治区少数民族に対する人権抑圧批判が厳しかったが、大会中にドーピング問題が大きく取り上げられたことにより人権問題は蔭に追いやられた感がある。中国にとっては勿怪の幸いだったことだろう。

 昨日の朝日「天声人語」は、大会全体が派手になり一部主催者への個人崇拝がエスカレートしていく現状にやや危機感を表している。オリンピックはギリシャだけで開催し、4年に1度に拘ることなく、国別対抗にも拘らなくてもよいのではないかと述べている。

 アメリカのUSA TODAY紙は、「ド-ピング問題の浮上で人権問題が注目されなくなった。中国は今大会で望んだものをすべて手に入れた。ドーピング・スキャンダルが役立った」と伝え、イギリスのガーディアン紙は、「新疆ウィグル自治区の人権問題などは影に覆われて始まったオリンピックだが、期間中はこうした問題が注目を集めることはなかった。中国は喜んでいるだろう」と皮肉を込めて伝えている。
 「平和の祭典」、及び「スポーツの祭典」というより、「国威発揚」と「金儲けの場」と化したオリンピックは、今では商業化され巨大化して開催のために巨額の費用がかかるようになった。これを支えているのがスポンサーであり、それを巧みに活用しているのが、メディアの大テレビ会社、特にアメリカのメディア・スポンサーである。そのため現在では、アメリカのスポーツ・シーズン、及びゴールデン・アワーに合わせた時期、時間帯で競技が実施されている有様である。冬季大会は地球温暖化の影響もあり、雪が少なくなり人工雪を降らせて自然を破壊するまでになった。国際オリンピック委員会(IOC)も懐具合が良くなる商業主義を歓迎し、実施要領についてはイニシアチブが取れないように思える。4年後は、イタリア・アルプスのあの風光明媚なコルチナ・ダンペッツォで開催されるが、その4年後の大会開催地に札幌市が名乗りを上げている。これについては、財政的にも札幌市だけの問題ではなく、日本全体の問題として考え、多くの国民が納得出来る決断をして欲しいものである。

 さて、冬季オリンピック開催の蔭に隠れたニュースとして、イギリスのエリザベス女王がコロナ検査で陽性になったことが公表された。ほんの10日ほど前にはチャールズ皇太子が感染している。ジョンソン首相の如きは、2度までも感染している。イギリスは、世界でも5番目に多くの感染者がいて日本の4倍強もの多数の国民が発症している。失礼を顧みず言わせてもらえるなら、かつての大英帝国も警戒と管理が少々甘いのではないだろうか。

2022年2月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com